聖女ハーレム状態
目が覚めると僕は寝ていた。ふかふかしている。柔らかいベッドだろう。体がさっぱりしている。誰かが拭いてくれたんだな。ありがとうけど、恥ずかしい。それに、新しい服も着てる。
右手と左手はしっかりと両手で掴まれてるような感触がする。ような、なのはなんか柔らかいものが上から覆い被さり、視界を遮っているからだ。どうも誰かに頭を抱き締められているらしい。お日様のにおいがする。
あと、腰の所にも柔らかいものが、どうも横からも誰かに抱きつかれてるのでは?しかも、胸をわしづかみにされてる。少し痛い。
よく、今の状況を考えてみる。
僕は町の外で気を失った。気を張り続けていて、安心したからということにしとこう。
右のごつごつした手は、牛男だろう。僕はどうも気を失いながらもタッチヒールをかけ続けたらしい。さすが僕。おかげで、MPがすかすかだよ。
左手を握りしめてる手はだれだろう。柔らかいけど、所々堅くなってるとこがある気がする。何かを握り続けた手。多分、アナかモモさん。どちらだろう。
頭にしがみついてるのは、多分間違いなくサリーだろう。大きな柔らかなものに顔を挟まれてる。服とブラを付けてると思われるのがせめてもの救いだ。
腰にしがみついてるのは、モモさん。腰に触れてる柔らかなものがそこそこ大きい気がする。
残った左手はアナに確定!
よくよく考えたら、ハーレムなうだなー。牛男もいるけど。少し前には考えられなかったことだ。聖都にくるまえは父さんと母さんと山暮らしだったし。
けど、悲しいかな、僕のロンギヌスは無くなってる。しばらくこの状況を楽しみたいけど、いかんせん、いつ男に戻るかわからない。それに、心臓がどくどくし過ぎて、また、倒れそうだ。
「みんな!起きろー!」
果たして予想通りだった。サリーとモモさんは、驚いて跳びおきる。アナは、うなだれてよだれでてる。牛男は頭に紙袋を被っている。角でてるし。
何か、少ししあわせ。僕がボロボロになりながら、勝ち取った世界だ。これを守っていくために、もっと僕は強くなって行こうと思う。あとは、聖都にもどったら、僕を追放した連中に思い知らせてやる。
「アナおきろ!」
手を揺すって起こす。
牛男は見た所体に異常が見えないので、試しに手を離してみる。やっと崩壊が落ち着いたみたいだ。
「牛男、調子が悪くなったら言えよ」
牛男はうなづく。
今僕が居るのは、アナの部屋だそうだ。殺伐なのがアナっぽい。色々話したい事があるけど、まずはそれよりも汗を流したい。髪も血やいろいろで、気持ち悪い。ちなみに、牛男と僕以外は、もう汗を流したらしい。
「アナ!シャワー浴びたい。ていうか、浴びさせろ!」
「いいぞ、けど、せっかくだから浴槽につかったらどうだ?温泉の素も入れてるから、疲れがとれると思うぞ!」
アナが素晴らしい事を言う。実家を出てから、体拭き水浴びばかりで、浴槽がめっちや恋しかったとこだ。しかし、浴槽ブラインドはデンジャラスだ。やむなし、僕はぶっちゃける。
「頼みがある。僕は風呂に入るとき、目を瞑らないとやられてしまう体質なんだ。理由は聞くな!恥ずかしながらお願いだが、みんな手伝ってくれないか?」
どっちにしても、僕が入浴したら、覗かれるないしいじられるのが明白なので、いっその事手伝ってもらう事にした。目を瞑っていたら、恥ずかしくもないし!
「了解!みんなでお前をサポートしてやる。大船に乗ったつもりでいじられろ!」
「洗うのは許可するが!無駄に触るなよ!」
アナがガッツポーズしてやがる。なにが、嬉しいんだ?けど、いじる前提はノーグッドでお願いします。
「おーふろ!おーふろ!みーんなでおーふろ!」
サリーが歌う。あのねぇ、きみらと混浴するわけじゃないから。
「やっと、その怪物を見ることができるのね!」
モモさん!怪物言わんでほしい。僕は人間だ!
正直、怪物はあなただと思いますという言葉を飲み込んだ。
「じゃ、牛男、悪いが先にいかせてもらう。お前もあとでしっかり洗えよ。お前牛臭いから。」
「ゴシュジンサマ…」
牛男がショックを受けている。だが事実だ。牛男は牛糞臭い。
「あと、お前らも混浴したいなら、牛男と仲良く入れ!手伝って貰って悪いが、混浴は無理だ。僕のメンタルが持たない」
アナのナビで浴室へ向かう。脱衣所で目を瞑る。
「はーい。万歳してー」
モモさんが僕の服を脱がしてくれる。うん、幸せだ。新婚夫婦ってこんな感じなのだろうな。
「ば、化け物…半分よこせ!」
アナが感嘆の声を漏らす。
「化け物ちゃうわ。あと、やらんわ」
半分無くなったらかっこ悪いつーの。
「気づいてたけど、あたしよりでかい!」
「サリー触るなよ、あと、抱きつくな!」
サリーを制する、なにされるかわかったもんじゃない。
「マリーちゃん……きれい…とっても…」
「モモさん、恥ずかしいので、あんま見んといてくれます?」
モモさん。君のほうがきれいだと僕は思います。
「マリーこっちだ。足元に気をつけろよ」
アナが僕の手を引く。ひんやりとした床が気持ちいい。
「マリーそこに椅子がある。ゆっくり座れ」
アナの言うまま座る。
「じゃあ、まずはシャワーかけるわよ」
サリーがシャワーを僕に浴びせる。いい温度だ。これ最高。
誰かが頭をわしゃわしゃしてくれる。多分シャンプーっぽいものをかけられて、わしゃわしゃ。すすいで、コンディショナーたぶんをかけられて、わしゃわしゃ。んー気持ちいい。このまま寝そう……
肩をがしっと掴まれる。
「マリーちゃん。寝ちゃだめよ」
モモさんの声で目を覚ます。
「ああ、モモさんありがとう」
「私たちは呼び捨てで、なんでモモだけさんづけなんだ?」
アナが問いかける。
「それは、モモさんだからだ!」
「訳わかんないわよー?」
サリーだ。不満そうだ。サリーさんと読んで欲しいのか?
「じゃあ、逆に聞くが、お前ら胸に手をあてて考えろ。お前らは敬称をつけられるような事を僕にしたか?」
『うっ!』
二人がはもる。
「名前を呼んでもらえるだけありがたいと思え!」
「はいはい、喧嘩しない、次は体、両手をよこに伸ばして!」
モモさんに言われるがまま、僕は両手を伸ばす。泡立てたと思われるタオルっぽいもので、全身をわしゃわしゃされる。目を瞑れば恥ずかしくないと思ったけど、あれは嘘だ。めたくそ恥ずかしい。
やばい、天国だ。そうだマハラジャだ。間違いなく僕は今王様だ。胸をぶりぶり洗われてる。優しい感触がこそばゆい。
ん!
「素手は禁止!ちゃんとタオルつかってくれ!」
「ばれたか…」
やはりアナだ。
「マリー立つんだ!」
アナが僕の手を握って立たせてくれる。
次は、下半身をわしゃわしゃされる。
「なんか、変な気持ちになるな…」
アナが呟く。変な気持ちにならないで欲しい。
「そうね、とてもぎゅーーってしたくなるわね!」
「モモさん勘弁して下さい…」
「わたしも、いま、しあわせだわー!」
「しあわせはいいが、サリーもう綺麗になっただろ?」
たぶん声の位置からサリーが僕のお尻や、お股を執拗に洗っている。こっちこそちょっと変な気持ちになりそうなんですけど。
「マリーかけるわよ」
サリーが僕についた泡を落としてくれる。
「ありがとうサリー」
「では、浴槽に行くわよ」
モモさんが僕の手を引く。やばい、初めてモモさんの手を触った。戦闘職の筈なのにめっちゃ柔らかい。
「マリー!赤いぞのぼせたか?」
アナが声をかけてくる。
「だいじょうぶだよ」
む、すぐ顔にでてしまうな……
「マリーちゃん、ゆっくり足あげてー。おっけ、それからゆっくりお風呂に入って」
モモさんに、言われるがままにする。足が温かいお湯に触れる。
チャプン
そしてゆっくりつかる。
うーん。最高だ!がんばったかいがあったってもんだ。ん、いつもずっしりな胸の感触がない。あ、浮くんだな。
チャプン!
チャプン!!
ザザザザザーッ!!
お湯が溢れる?
僕の足をかき分けて柔らかいものが割り込んでくる。そのまま下腹部まで柔らかい暖かいものが密着する。そして、すべすべしたものが僕の胸を押しつぶす。
あと、背中にも、柔らかいものが押しつけられる。僕の腰を挟むようにすべすべしたものが滑り込んできて、温かいなにかが背中全体的に押しつけられる。
なにが…
なにが起こってるんだ…
僕は、驚いて咄嗟に目をあける。
右肩になにかが乗っかる。ゆっくり横を向くと、髪をタオルでまとめた桃髪の幼さの残った美少女の顔が、息を感じるほどのとこに!
「…あったかいね…」
満面に笑みで、サリーが呟く…
左肩になにかがしなだれかかってくる。
そちらを向くと、黒髪を捻りあげタオルでまとめた超絶美少女!僕の方を向き目が合う。そして微笑む…
「…しあわせ…」
胸に軽くてを当てているが、形のいいスライムさんが軽くひしゃげている。にごったお湯が大事な所は隠してくれてる。
美少女が、裸で僕にしあわせとおっしゃっていらっしゃいます…
「お前ら、早く代われよ!」
小さなタオルで、必要最小限のとこを隠した、金髪のハーフエルフの美少女がいる。少し顔をひそめてる。濡れたタオルはほぼ透けて張り付いている。
「お前ら…なんで…裸…?」
僕は何とか声を絞り出す。
「風呂は裸!当たり前だろう!」
アナは首をかしげる。
暖かいお湯の中で、暖かい体と密着してる。
………美少女サンドイッチ……
三人の美少女と混浴……
……ここは天国なのか………
僕の視界がみるみる白くなっていく……
「キャアア!鼻血!鼻血!」
それが僕がこの世で最後に聞いた声だった……
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