第十三話 聖女、戦神を挑発する
音だけ大きく全く威力のないキックが、アナの後頭部に突き刺さる。それを起点にバク宙して、着地する。このショックで、アナが正気にもどればいいけどなー?
「町に行きたいなら、俺たちを倒して行けよ!」
「なんだ?非力なうしちち娘?」
感情のない目でアナは僕を見ている。
そーかい、そーかい、弱い者には興味無いって訳ね。
「人をうしちち言うなや!お前おっぱい大きくなったみたいだけど、それってどうなのか?自分で手に入れてないおっぱいって偽物なんじゃないか?まやかしだ!いかさまだ!いわば偽乳だ!」
僕には戦闘能力はない。今使えるものは頭だけだ。コイツのベースはアナだ。死の淵で望むほどこだわりのあった、胸についてつつけば、何らかのリアクションはあるはずだ。
「わたしが、偽乳……」
やっぱ気にしてやがる。
「おっぱいだけじゃない!その力も自分で手にいれたものじゃないだろ!お前の存在じたいもまやかしだ偽者だ。デミ・ゴッドじゃなく、偽者の神、にせゴッドだ!」
「にせゴッド……」
アナは呟く。あいつは単純だったから、コイツも次は怒るはず!
「なぜか知らないが、無性に不愉快だ。特に偽乳という言葉が、私の心をかき乱す。しょうがない。死なない程度にかわいがってやろう!」
アナは僕に向かって構える。
いや、まだ、足りない!
もう一押しだ。
「お前臭いんだよ!神とか言ってる割にはウンコの臭いがぷんぷんするんだよ!今からお前はうんこがみだ!かかってこい!うんこがみ!」
僕の知ってる限りでは、臭いって言われて怒らない女性はいない!単純だけど、アナはもっと単純なはずだ。
「死に去らせー!くそうしちち!」
効果覿面!ボコられるとは思うが、死にはしないだろう。
コイツの力は強大だ。けど、その活動のエネルギーはどこから来ている?多分僕の強化して注ぎ込んだ魔力によるものだろう。怒らせてがんがんエネルギーを使わせたら。いつかはガス欠で動けなくなるはず!
「グラビィティ・ゼロ!イージスモード!」
僕は、新しくつけた技の名前を叫ぶ!空飛ぶ羽毛や綿毛をどんなに殴っても吹き飛ぶだけ、まさに無敵の盾イージスだ!
「死ね!死ね!死ね死ね死ね死ね死ね!」
怒り狂ったアナの突きは、僕に触れることはない。さっきのミノタウロスとの戦いでコツをつかんだ。柔よく剛を制する、柳に雪折れなし。まあ、実際はそんな格好いいものではなく、鎧コスプレの美少女が下着美少女をどついてるというシュールな絵面だけど。
しかも人は成長する生き物だ。その攻撃のカウンターで、アナの体のいろんなとこをつんつんしていく。
「さわんなや!コラァ!」
つんつんされるたびに、アナはびくんびくんする。
怒りで、顔が紅潮していく。
「死に去らせ!ゴッドインフェルノ・マキシマム!」
アナの体が炎に包まれる。間違いなくエネルギーの無駄使いだ。つんつんがよほどいやだったのだろう。アナは両手の槍で僕を突きまくるが、なんとか擦ることもなかった。
あぶねー、少しでも触れたら引火するやつだったよなー。
けど、明らかに、アナの鎧の光が弱くなってる。あと一押しだ!
ん!
アナは、両手の槍をおろす。
「危ない所だった。お前は強い尊敬するよ。無力なくせに、気が付いたら私を追い詰めていた。あと少しで、力を使い果たす所だった…」
アナは僕に微笑む。
「ハァァァァーッ!」
アナは騎馬立ちで叫ぶ。
「必要最低限のエネルギーは確保した。私アレスを讃える者が何処かにいる限り、一定のエネルギーは供給され続けるのだよ!」
アナはゆっくと近くと僕の肩を優しく掴む。そして、優しく優しく僕の腹に槍を突き刺していった。
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