第十二話 聖女の前に狂った戦神降臨する
「戦神降臨アレスフォーム100%!」
アナは叫び、金色の光につつまれる。光る物体が遠くから飛来し、アナの前に止まる。透明な光るクリスタルみたいなそれは、砕け散り粉になり、アナに吸い込まれていく。既視感デジャヴ?僕はたしかにこの光景を…
光はさらに強くなり、一旦まばゆく光ると、そこには、金色の光る鎧兜に身を包み、左右の手にに金色の槍をもつアナが立っていた。その姿は神々しく、まるでギリシャ神話の神の一柱。けしからんことに、その胸は、サリーにひけを取らない位になっている。
「わたくし降臨!
私はアレス、アレスは私!
我が豊胸の望みここにかなえり!」
言ってることは、おばかっぽいが、目が違う、目が。
何というか、知性をたたえている。嫌な予感がする。
「獣の分際で、よくも私に傷をつけましたね!」
アナはキッとミノタウロスの方を向く。
「サウザンド・ニードル!」
アナが両手の槍で、ミノタウロスを突く。まるで、アナの前に剣山が現れたように見える。
ミノタウロスは、なすすべもなく全身から血を吹き出し吹っ飛ぶ。
ミノタウロスは、しばらく痙攣したのち、また立ち上がる。みるみる傷が癒えていく。
「牛のくせにしぶといな。ステーキにしてやるか!」
ミノタウロスが渾身の力でアナに殴りかかるが、避ける事すらしない。殴りかかったミノタウロスの方が弾かれて、僕の方にふっとばされる。
「ゴッド・インフェルノ!」
アナの槍が炎に包まれ、それをミノタウロスに投擲する。槍は、ミノタウロスを貫通し、そのあと逆モーションでアナの手に戻る。
「お前は私を怒らせた。足下から徐々に消えてくがいい!」
ミノタウロスは炎に包まれる。
「…つよすぎる…」
ミノタウロスは呟くと崩れ落ちた。
「オオオオオオオオオーン!!」
ミノタウロスが咆哮をあげながら燃えている。燃えるはなから再生していくが、炎は足下に集中し、そこから上に向けて徐々に移動していく。燃え尽くす早さが再生に勝り、足、そして脛とどんどん焼失していく。
「終わったの?」
サリーが呟く。彼女は、大地にうつ伏せている。僕のMPは徐々に回復はしているが、まだ彼女の骨折を治癒出来るほどはないと思われる。
「まだよ…」
モモさんが、ミノタウロスの巨大な斧を杖代わりに立ち上がる。多分、さっきアナが斬られる前にミノタウロスにやられて、倒れていたのだろう。
モモさんは、アナの方へ駆け出す。
「タイタン・ハンズ!」
パシーーン!
「タイタン猫だまし!」
巨大な手のひらが、アナの目の前でかしわでを打つ。
「何のつもりだ?小娘?」
アナはモモさんに向かって構える。
「アナじゃないわね、アナなら、猫だましで必ず目を瞑る!少しは回復した。いける!プリズン・ブレイク!」
ジャララン!
モモさんの前に浮く巨大な手から、生えたかのように肘より前が発生する。それは鎖にがんじがらめにされてるが、その鎖が砕け散り消え去る。
「手加減はしない!」
モモさんの巨人の両手と巨大な斧を持ったモモさんが、アナに襲いかかる。それをアナは、その場から動く事無く、両手の槍でたたき落とす。
「ま、魔王…?」
サリーが呟く。
「失礼な。魔王ではない。私は魂に異界の神を宿したもの、いわば半神!」
アナは、モモさんのラッシュを槍で叩きおとしながら、サリーに答える。
「巨人の力か、面白いな!」
アナは楽しそうにモモさんを見て笑う。
モモさんの巨人の手が、アナの両手を掴む。
「アナ!ごめん!」
モモさんは、斧を振りかぶり、アナに振るう。
ガシッ!
斧はアナにあたることなく、モモさんは蹴り飛ばされ体をくの字に折り曲げ吹っ飛ぶ。
「弱いな。お前らは、仲間だったよしみで、見逃してやろう。ここで大人しくしておけ」
アナは、悠々と歩き出す。町に向かって。
「お前、何をする気だ?」
僕はアナに問いかける。
「何をって?あの町にいる者たちをぶちのめす。強い奴の一人か二人はいるだろう。楽しみだな!」
アナは、楽しそうに笑う。相変わらずバトルジャンキーか?
せっかくミノタウロスを撃退したと思ったのに、今度はアナと戦う事になるとは…
どうすればいい?このままだと、アナは町で暴れまくるだろう。町には多大な被害が出て、もしアナが正気に戻ったとしても、お尋ね者だろう。
僕に出来る事は何がある?もしかしたら?僕は走り出す。
パシーーン!
とりあえず、僕はアナにドロップキックを放った。
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