第十話 聖女激戦
重力操作の合間にミノタウロスの斧が少し擦っただけで、右足の腿の肉をごっそり持っていかれる。
痛みと言うよりも熱い!血がほとばしる。
少しでも出血を抑えるために右手で強くおさえながら回転し、左手で地を叩き跳ね回り着地する。
まずい!これはしばらく回復に時間がかかる。
何でこんなに回復が遅いんだ?そうだ、忘れてた。僕は首に掛けた封魔のロザリオを外して収納にしまう。
封魔のロザリオは、例えるなら、水いっぱいのバケツをひっくり返すとドバッと水が溢れるのを、ゴムホースでチョロチョロ出るようにしてるものだ。
魔力調整が苦手な僕はどうしても魔法を使う時に無駄に大量のMPを使ってしまうので、封魔のロザリオによりセーブして少量使うようにしている。
僕から、大量の魔力が溢れだす。みるみる足と全身の傷が治る。
その僅かな隙に、近づいたミノタウロスに反応できなかった。
僕は左手を捕まり引き上げられる。
まずい、僕の腕力では振りほどく方法がない!
「キャアアアーーーーッ!!」
僕の喉から、甲高い悲鳴が上がる。
ミノタウロスが僕の右肩を噛み千切る。けど、そのしばらくあとには、何事もなかったかのように修復する。
どうも、マリーになった時には、魔力が上がりオートヒールが活性化してるらしい。多分一撃で首でも落とされない限り修復するのではないか?
僕の頭に、一縷の希望が浮かぶ。
それでもこのまま捕まっていたら、いつかやられてしまうだろう。重力操作しても、大地を蹴るなり推進力がないと、何も出来ない。
どうすればいい?
「ファイアーボルト!」
ミノタウロスの顔に、炎の矢が命中する。サリーだ。
「タイタン・ハンズ!!」
モモさんのそばに浮く巨大な両手が、ミノタウロスを掴む。僕は地面に投げ出される。巨大な斧も地に落ちる。
「テトラアタック!!」
アナの三連突きが、ミノタウロスの両肩を砕き、最後の一撃は心臓に突き刺さる。
「大丈夫か?」
アナは剣から手を外し、僕に手を伸ばす。
「アナ!ありがとう。おかげで助かったよ!」
アナの手を掴み立ち上がる。
「まだよ!まだ終わってないわ!!」
サリーが叫ぶ。アナが僕を突き放す。何つー力だ、僕は盛大にふっとばされる。
ミノタウロスが、モモさんの巨人の手を弾き飛ばすが、彼女は巨大な斧を手にしている。
自分の剣をアナに投げる。そして、ミノタウロスから距離を取った。
モモさんもひどい姿だ。全身は血塗られ軽鎧は下半身のみで、和服の胸元は大きく裂けている。かなり際どい格好だ。
ミノタウロスは、胸に刺さった剣を抜いてへし折る。みるみる傷が治っていく。
「マリー、町から助けを呼んでこい!こいつの相手は、私達がする!」
アナは僕に振り返り微笑むと、受け取った剣を手に駆け出す。
僕は城門に向かって走り出す。
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