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第八話 破滅の聖女?


 僕はそのときなにが起こったのか、わからなかった…


「グラビティ・ゼロ」


 咄嗟に跳びあがり僕の方に吹き飛ばされてきたアナを抱き寄せ、重力操作で着地する。


 僕たちの前に現れた者を見る。


 黒いはち切れんばかりの筋肉に纏われた人の体に、ねじ曲がった角のついた猛々しい牛の頭。


 人の胴体ほどもある血塗られた両刃の斧を軽々と持っている。


 ミノタウロスだ。


 それにしても強すぎる。僕の知ってる限り、ミノタウロスにゴールドクラスの冒険者をなすすべもなく蹂躙するほどの力は無いはず。ミノタウロスの亜種か?


「うっ」


 急に辺りの気温が下がった気がする。なにか嫌な気配がする。


 ミノタウロスの前に黒いもやが集まり、フードつきのマントを羽織った半透明の人物が現れた。


「私の担当したここは当たりだったみたいだな。破滅の聖女か…」


 その人物が僕の方を見る。僕も凝視するが、そのフードの中身はよく見えない。


「フフッ。お前たちの力見せて貰った。残念ながらお前たち程度では強化したこいつは倒せない。運良く勇者に会ったら伝えろ。骸骨城で待つと…」


 少しづつフードの人物が消え始めた。


「ミノタウロス、蹂躙しろ」


 半透明の人物は、言いたい事だけ言うと、虚空に消え去った。なんだったのだろう。訳が解らない。


 破滅の聖女?誰の事だろう。ここにいる聖女、僕の事なのか?


 勇者?勇者とは古来から伝説の魔王を倒す者。誰の事だ?アナはある意味勇者だが、それは違う意味でだ。


 骸骨城?なんか昔聞いた事あるけど、思い出せない。


「マリー、アナを治療して、私は大丈夫だから」

 

 モモさんが顔を上げて叫ぶ。その体の下には、赤い血だまりが出来ている。僕は我に返る。考えるのはあとだ。


 ゴツッ!


 ミノタウロスがモモさんを蹴り飛ばす。鈍い音がしてモモさんは遠くに吹っ飛ばされる。


「あれくらいなら、まだモモは大丈夫だ、オートアースヒール。大地に足をついてる限り、自然治癒する。時間はかかるが…」


 僕にもたれかかって、アナが絞り出すように言う。彼女が抑えているお腹から、どくどく血が溢れ出る。


「タッチヒール!」


「タッチヒール!」


「タッチヒール!!」


 僕は傷口に触れ、回復魔法をかける。どうにか血は止まったみたいだ。


 アナを地面に横たわらせる。


 ミノタウロスを見ると、ピクリとも動かないサリーに向かって、その巨大な斧を振り上げていた。


 やばい!


「グラビィティ・ゼロ!!!」


 自分の無力さを忘れ、僕は何も考えず走り出していた。




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