第六話 聖女、逃げようとする
「モンスター?楽しそうな話だな!買い物はここまでだ!いくぞ!」
アナは声のする方へ向かう。それにモモさんもついて行く。
「私はお買い物してていいかなー?戦闘能力皆無なので…」
僕はアナ達と逆方向へ行こうとする。勘弁してほしい。
「なに言ってんの?マリーちゃんも一緒に行こうよ!あたしたちが、守ってあげるから!」
サリーは、首にかけてある金の認識票を手に取って僕に見せると、僕の手を取って引きずっていく。ん、なんかデジャヴを感じる。正直嫌な予感しかしない。逃げ出したい。
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僕達は今、城門の通用口にいる。
衛兵が言うには、魔法や弓矢がギリギリ届かない所にゴブリンの一団が居るらしい。跳ね橋はまだ上げてなく、町の警備兵がくるのを待っているそうだ。
「ヒャッホー!ゴブリンか!うって出るぞ!」
アナが楽しそうに言う。おまえは戦闘民族か!
「あのー、ゴブリンさん達は、なにしてるんでしょうか?」
僕は疑問を口にする。
「そうね、おかしいわねー。ここ、南門からの街道は聖都へ向かってるから警備が厳しいんで滅多なことじゃ、モンスター出ないはずなのにねー?」
サリーは首をかしげてる。
「けど、ゴブリンだ!今の私達の戦力で遅れを取る事はないだろう。ここで、静観していたら、私達の名に傷がつく!衛兵。私達を通せ」
アナが衛兵に金の認識票を見せると衛兵は通用口を開ける。
「頑張ってね。私は残るわよ。足手まといだから!」
僕は逃げようとするが、素早くアナに襟を掴まれる。
「それでは、私とサリーが先に行く。モモは後ろでマリーをたのむ」
アナは相変わらず僕の話を聞かない。脳みそ大丈夫なのか?
「僕の話を聞けよ!何でそんなに僕をを連れてきたがるんだ?」
「おまえは私達の仲間だからだ!私達には回復担当がいない。私達が傷ついた時に癒してくれ。その素晴らしいおっぱいで」
「ばかかっ!おっぱいで傷が治るわけねーだろ。帰るー」
「大丈夫だ。心の傷を癒してくれる」
「嫌な予感がするんだよぉ。逃げたいー!」
僕は抵抗するが、アナの力にはかなわない。
モモさんが僕に近づいてくる。
「大丈夫。守ってあげるから」
モモさんは僕の腕をとって連れていく。ああ、腕にまたモモさんのスライムが…
僕はまた誘惑に負けて素直に引っ張られて行った。