表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/404

第五話 聖女は男物の服を買いたい


「お父さんに、シャツをプレゼントしたいのだけど、一緒に選んでくれませんか?」


 我ながらいい言い訳が出来たのではと思う。セリフも心の中で何度も練習したので、不自然ではないと思う。ちなみにくそ親父には死んでもプレゼントしたくない。プレゼントは露出狂の噂だけで十分だ!


「お父さんにプレゼント?ほんとにお父さんなの、彼氏じゃないの?」


 サリーが目をキラキラして腕にしがみついてくる。駄目だ、これは慣れない…


 回りで何人かの男性が僕達を、特に胸を凝視してる。どう見てもこの店の買い物客とは思えない。


 あとの二人も僕達につかず離れずなとこにいる。三人とも、目立つように金の認識票を首にかけてる。これが、僕らを守ってくれている。獰猛なライオンが三匹うろうろしてるようなもんだ。


「彼氏もなにも、私、山からでて来たばかりだから、冒険者ギルドの受付さんと、あなたたちしか知り合いいないわよ!」


 そのからみも想定内!よどみなく答える。あと、聖都でクラン『セイクリッド・マローダー』のメンバーと面識があるが、日が浅かったので、ジェフ達以外はあまり知らない。


「それなら、私達に服をプレゼントしてくれ、ここに居ない親父さんとかどうでもいいだろう?」


 アナが訳のわからん事を言ってくる。コイツの頭は異次元なのか?まったく予測が出来ない。


「わかったよ、ついでに買ったげるよ」


 いかん、こいつと話すと女言葉が解けちまう…


「これなんてどうかしら?」


 モモさんは、オッサンの着るような肌着と腹巻きをもってくる。あなた、解ってぼけてるでしょ。


「お父さん、それ貰って喜ぶかなー?」


「私のプレゼントなら、なんでも喜ぶわ」


 モモさん、お父さんと仲良しなのですね、すんなりと彼女は、服を戻しに行った。


「彼氏じゃなくてー、父親じゃない人のために服を買う…、パパ!パパがいるのね!!」


 サリーが僕に指を突き付ける。


「パパなど、おらんわ!オッサン全般きらいだわ!」


 ついに若干きれてしまった。頼む僕の服を買わせてくれ!


「それも違うならー、もしかして、マリーちゃん男の子だったりして、今は変身してるとかで!」


 サリーの言葉に、僕は硬直する。なんて鋭いんだろ。ここは、素直に告白したがいいのでは?


「サリー…実は…僕は…」


 やはり、迷う、どうすればいいんだろう…


『モンスター!モンスターが出たぞー!』


 遠くから、叫び声が聞こえる。途中から、薄々気づいてました。僕の服は買えないのね……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ