竜戦士、少女達に甚振られる
やっとなんとか服を着れる。
アナを優しく横たわらせ、三人がもし起きても問題ないように、サリーの出した巨岩に隠れ、まずはカボチャパンツを脱ぐ。鼻血まみれで、真ん中に穴が開いてて、焦げてる所もある。数々の試練を一緒に乗り越えた戦友だ。
しみじみしながら収納にしまう。
タオルを出して体を拭く。飲み水を持ってるので、それで浸して絞った。
収納の中から服を出して着る。服を着れるということは、とても幸せな事だと実感した。
ほんと、今まで収納からなにか出す余裕すらなかったからなー!
その後、破裂しそうな膀胱を解放する。
後回しにしたのは、もしかしたら少女たちが目を覚ますかもしれないから、大事をとったのと、グングニルが静まってなかったからだ。
ちょうどいい岩に腰掛け辺りを見渡す。岩がゴロゴロ転がってて、薄着の少女がうなされながら横になってる。特にサリーは寝相がよろしくなく、みてはならないものが見えそうだ。
この状況を、今、誰かに見られたらどう思われるだろう。
僕が少女たちを戦いの末に倒したようにしか見えない。
実際そうなのだが、これはまずい。犯罪者扱いされそうだ。
逃げようか?
もし、ここに魔獣やモヒカンなどが来たらどうする?
見捨てるという選択肢はないな。正直、特にアナとは二度と関わりたくないのだが、迷宮では助けてもらったしな。しぶしぶ、まずは三人を一所に集める事にする。
アナには出来るだけ触れたくないので、まずは、モモさんから。
「スー、スー」
穏やかな寝息を立てている。清楚という言葉が似合う美少女だ。胸元がすこしはだけてこぼれそうになってる。いかん、僕は収納からボタンシャツを出して上からかけてやる。お姫様だっこで持ち上げると思ったより軽く触れてる所はとても柔らかい。緊張で震えながら、アナの横に寝かせる。
次はサリー。
「ううん!」
うなされて時々動く、足を開いて、すそがまくり上がり、一瞬みてはならないものが、見えた気がする。そこに顔をうずめた事を思い出し、全身が熱くなる。目をそらして頭の方から接近して、収納からマントを出して上にかける。小柄な体をすっぽり収めさせて、お姫様だっこする。
「キャー!コブラー!」
びっくりするなー…
寝ぼけて僕の首にしがみ付く。凶悪なスライムが押しつけられる。厚手のマント越しでもやばすぎる。ロンギヌスが再び進化しそうだ。さらに、サリーは強くしがみついてくる。こいつ実は起きてるのでは?
「……ひゃうっ!」
首すじに、柔らかいしっとりとしたものが、一瞬触れる。力が抜けて、彼女を落としそうになる。
事故だと思うがキスされた!
やばい、頭が真っ白になる。
瞬間でロンギヌスがグングニルに覚醒進化した!
やはり、こいつは強敵だ。
急がねば、今誰かが目を覚ましたら、間違いなく痴漢にされる!
残った力の全てを使い、サリーもアナの横に寝かしつける。
もったいないがアナの上にもボタンシャツをかけてやる。
これで、なにかがあって気を失った三人を助けた人の体でいけるはず。
けど、女の子の寝顔を見て興奮してる変態に見えない事もない。収納から、予備の鎧を出し装着する。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
岩に腰掛け、起きるのを待っている。
それにしても、黄金認識票の冒険者はとても強かった。
なんとか倒すことは出来たが、裸でなかったら負けてた可能性の方が高い。
複雑な気分だ…
それに、昨日、今日と、刺激的な出来事が多すぎた。いままで、学校のダンス位でしか、女子と触れ合った事のない僕にはレベルが高すぎた。ちなみに『セイクリッド・マローダー』の二人は一緒にいた時間は短いし、女性としてはビーンボールすぎる。今の状況は少し嬉しいけど、もっとソフトであって欲しい。
「ううーんっ…」
アナが伸びをして起きる。
「あんた、誰だ?」
シャツを抱き、立ち上がり僕を見る。
「ふわぁーっ」
「うーん」
サリーと、モモさんも目を覚まし立ち上がる。
「冒険者だ、あんた達が倒れてたから、見張っててやった」
出来るだけ低い声をだす。ハードボイルド主人公イメージだ。クレイジー仮面とキャラが被らないように。
「ありがとう」
「ありがとうございます」
「ありがとー」
三人は、深々と頭を下げる。意外に良識あるのでは?
「こんなとこで、そんな薄着で何してたんだ?その服はやるよ、目のやり場に困るからな」
三人は、僕に改めて頭を下げて礼を言う。
「お兄さん、もしかして、あたしたちのいろんな所見た?」
サリーがいたずらっぽい顔つきで、いきなりぶっ込んでくる。
「な、なに言ってる。服掛けてやっただろ」
僕はうわずる声を抑え、何事もなかったかのように答える。
「おまえ、私たちの変なとこ触ったりしてないだろうな?」
アナが、口角を不敵に上げて問う。なんで初対面なのにこんなに高圧的なんだ?
「そんなこと、するわけないだろ」
不機嫌そうに、吐き捨てる。
「ほう!おまえは薄着で下着を着けてない可憐な女性が寝てたのに、見てない、触ってない、有り得んな!おまえホモなのか?」
まじうぜー!エルフってこんなのばっかなのか?
「ホモじやねーよ!男が全て野獣だと思うなよ!」
「わかったわー。不能ってやつねー。聞いたことあるわー」
サリーは、明らかにたのしんでやがる。
「そんなんじゃねーよ。若い女の子がそういう話するなよ」
なにが悲しくて、肉体的にいたぶられて、さらに、精神的にもいたぶられにゃあかんのだろうか?
「じゃ、触ったんだな。この変態め!」
調子にのるな、この貧乳め!
「話を聞け!コラッ!お前は触ってない!」
アナとサリーはニヤッと笑い目を見合わせる。やば、失言だ。
『お前は!』
三人がハモる。
「やっぱり、触ったんだな、なぜ、私は除外なんだ?」
アナ、お前だけは触りたくない。というか関わりたくない!
「きゃーやらしー、どこ触られたんだろえっちぃ!」
サリーが体をくねくねする。こいつも苦手だ、ペースを崩される。
「触った訳じゃない、あんたが俺に抱きついてきたんだ。不可抗力だ」
「私も触ったの?」
僕はモモさんのような、清楚で大人しいほうがいい。
「いや、君の場合は少し見えかけただけだ。わざとじゃない」
ゆっくり落ちついて、話すボロが出ないように。
「恥ずかしい…」
ポッと顔を赤らめる。やばい、超可愛い!
「私だけ不公平だな、しょうが無いこっちにこい、触らせてやる!」
何を言ってるんだ、アナは、もう話さないでほしい。
「痴女かっ!お前は!!」
「私だけ、置いてかれるのはいやだ!」
「じゃ、そこらのおっさんにでも頼め!はい、解決!次」
辺りを静寂が包む!今の言い回しどっかで聞いたような?
キュピーン!
三人の目が光る!
「脱げ!四の五の言わずに全部ぬげ!」
アナが大声を上げる。
「な、なんだそりゃ?助けてやったのに、訳わかんねーよ!」
もしかして、ばれかけてんじゃ!声が震えそうになる。
「お前は、我々の際どい姿を見た、助けてもらったのは、これでチャラだ。さらに、いろんな所を触りまくった。有罪だ、これで貸し一つだ!」
アナが僕に指を突き付ける。なんてめちゃくちゃな論理だ。
「それで、なんで脱がにゃならんのだ?頭大丈夫か?」
目を見て話せない……
「まあ、話を聞け!我々は、先ほど、顔にパンツを被った変態男に遅れをとった。男性にあまり慣れていなかったのが敗因だ。より強くなるためにお前の協力が必要なんだ、それに、お前がパンツ男かもしれんしな、脱がして改めさせてもらう!」
アナは目をまたキラキラさせている。変態がっ。
「そうね、たしかめないとね!ゴクッ!」
サリー!唾を飲み込むな!
「私も手伝います!」
モモさん、君も変態なのか?
にじり寄る3人。
「勘弁してくれーーーっ!」
僕は一目散に、逃げ出した。
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