第二話 新しい教師
「ほう、やるのかアルス」
アナが目を細める。
「俺は女の子とは戦う趣味は無い。けど、お前は特別だ。今日こそはほえ面かかせてやる」
アルスが拳を握って立ち上がる。
「おいおい、お前ら、建物壊れるから外でやれ」
僕は手でシッシする。
キーン、コーン、カーン、コーン。
始業のベルだ。それにも関わらず、アナとアルスは外に行こうとする。まじこいつら自由だな。
バタン!
教室の扉が勢いよく開かれる。
そして入ってきたのは小柄な人物。ん、子供? 全ての目がその人物に注がれる。
「お前たち。席につくのかしら。それとも全裸になりたいのかしら?」
まるでグラスを軽くあてたかのような涼しげで良く通る声がする。けど、全裸を強調してる時点で残念感がはんぱない。
金色の巻いたツインテールに、この世のものとは思えないような整った顔。紺のレディスーツに金縁の眼鏡をかけている。特徴的なのは尖って伸びた耳。言ってる事の意味がわからないのか、みんなポカンと見ている。次は、魔道理論の授業。先生はよぼよぼの爺さんだったはず?
「はい、はい、さっさと席に着く」
アナとアルスも席に着く。アナ、クラス違うだろ。少女はツカツカと歩いて教壇に立つ。けど、教卓に隠れてしまう。彼女は下がるとどっからか台をだしてその上に立つ。
「今日からお前たちGクラスの魔道理論を担当する事になったベルサイユだ。お前たち全員を徹底的に鍛えるから覚悟するのかしら」
大きく無いけど良く通る声だ。コイツ見かけによらず、大勢の前で話す事に慣れてるな。
「ちょっと待てよ。なんでベルがここにいるんだ?」
アルスがベルに問いかける。
「あなたは確かアルス君ね。ここでは私とあなたは生徒と先生です。ベルじゃなくてベル先生と呼びなさい。次、口の利き方を間違えたら、ふくよかになって貰うかしら」
なんと、気をつけないと『グラトニー』の餌食になるのか。
「じゃあ、ベル先生、ベル先生はなんであたしたちの先生なんですか?」
サリーが手を上げて聞く。
「それは、私の潤沢な魔道知識に目をつけたここの学長先生が是非ともGクラスで教鞭をとってくれと頼んできたからかしら」
まじか、あのじじいなんて事しやがる。確かにベルは魔法には詳しいし、ていうか魔法オタクではあるが、こいつ一般知識チンパンジー並みだぞ。下手したらよく教育された犬以下だ。このカオスのGクラスにベルの変態魔法が流出したら、間違いなく何人かの犯罪者を生むのではないだろうか?
まあ、けど、今のところ、言ってる事はいつもより良識的なので、さすがに授業一発目から暴走したりはしないだろう。
そう、思ってた時期が僕にもありました……
読んでいただきありがとうございます。最強最弱聖女、乱入SS
【ゴールデンフィンガー(前編)】
マリーとモミの仁義なき戦いに終わりはあるのか?
改稿版の方に投稿しましたのでよかったら見て下さーい。(´▽`)ノ
下にリンク張ってます。魔領に向かう前の話です。
https://ncode.syosetu.com/n5790hs/315/
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