第一話 日常から
「マリーちゃん、お股閉じて。見えてる見えてる」
サリーが僕のスカートの裾を押さえる。サリーの牛乳瓶底眼鏡が一蹴光ったような気がした。
ここはガンダーフ魔道学院。武道大会開催まで、僕たちは大人しく学校に通う事にした。やっぱ死王との戦いはしんどかった。しばらく英気を養ってから、また活動しようと思う。
「いや、サリー見せてるんだ。ほら見ろよ、アイツらの食い入るような目。まるで獲物を狙う隼のようだ。もし、アイツらの視線に力があるなら僕のパンツ、穴空きそうだな」
僕は休み時間の暇潰しに、クラスの陰キャ共に餌を与えている。男の子っぽくエロ系に無頓着なふりして、椅子にまたがってパンティを披露してやってる。当然パンツ上から見せパンを装備しているのだが、ヤツらは堂々と見てきたりチラッと見たり、遠くから見たりとその生態は面白すぎる。マジで、パンツなんか見て何が楽しいのだろうか? まあ、確かにその中身が透けたりして見えていたら僕も興奮すると思うが。
僕はここしばらくで美少女たちに囲まれ続けてかなりレベルアップした。下着如きではもはや微塵も欲情しねーんだよー。
「ん、マリー呼んだか?」
自然にアナが近づいて来る。
「呼んどらんわ。アナはアナでもホールの方の穴だ」
コイツはA組のはずなのに、事あるごとにG組にやってくる。多分友達いないんだろな。アナは見てくれはいいけど、一緒にいると恥ずかし過ぎる。
まず、声がデカい。それだけで目立つ。しかもいきなり下品な単語をその大声で放つ。マジ頭の中子供なのか? 良識ある人間がしないような行為を平然と行いやがる。しかも予測不能だ。ん、アナが消えた?
「ほーら、おっぱいブリンブリンだ!」
「キャッ!」
つい、可愛らしい声が漏れる。僕の胸が捕まれ円を描くかのようにもみしだかれる。アナの吐息が耳にかかる。高速移動で僕の後ろに回ったのか。力が、力が出ない……
「止めなさい……アナ」
サリーがアナの手を引き剥がす。
「はぁはぁ、ありがとうサリー。アナ、ぶっ殺す!」
「待て、待て、ほら見てみろよ、あいつ股間を押さえてるぞ」
アナが大人しそうな男の子を指差す。彼は机についていて、アナが言う通り股間を押さえている。僕にはよく分かる。ポジションを上に向けてズボンのたわみで隠そうとしてるのだろう。本人は隠せてると思ってもモロバレなんだよな。チーン……
僕にしがみついていたアナは立ち上がり、腕を組んで辺りを睥睨する。
「おら、G組は腰抜けばっかなのか? 見てるだけで、実際にマリーの乳を揉もうという剛の者は居ないのか? あ、そうか、G組のGは、自分で慰めると言う意味の自慰なのか。おら、自慰組のカス共、とっとと家に帰って自慰しまくれ!」
アナがG組という言葉で、みんな一度は頭に浮かんだ事があるけど下らなすぎて記憶の遠くに葬り去った言葉を口からほとばしらせる。
アナはA組、G組の人たちとは戦闘能力はアリとスッポン並みに違う。ん、違うアリと巨人だ。なんでスッポンが頭に浮かんだんだろう?
アナと目が合った陰キャ共は目を伏せる。これってもしかしてイジメなのか?
「止めないか。アナ。品がなさ過ぎるぞ」
金髪イケメン変態勇者アルス登場。そして、いつも通り戦いが始まるのだろう。
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