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 再会


「あんた達何やってたのかしら。遅いわね」


 地べたにベタ座りして、芋食ってる生き物がいる。見なかった事にしとこう。僕の中でベルは死んだんだ。


「ちょっと、何無視してるのかしら?」


 僕たちは誰一人視線をあわさずに素通りする。まじで、コイツ何してるんだ? 


「え、もしかして、怒ってるのかしら? そりゃ、逃げたベルも少しは悪いけど、ベルがいてもあの場所じゃ大した事できないじゃない。あ、分かったお腹減ってるのね。特別にベルの芋をあげてもいいかしら」


 ベルはそう言うと、僕の口元に芋を差し出す。


「食うかボケェ!」


「それなら、わたくしがいただきますわね」


 横からサッと、天使エルエルが芋をかっさらって、皮ごと噛みつく。ゲッ、この人こんなナリして、芋は皮ごといく人なんだ。多分エビも殻ごと食べるタイプだな。ワイルドだ。


「おい、そこの鳥ヤロー、ベルはマリーに芋を与えたのよ。何横取りして食べてるのかしら?」


 ベルはエルエルの下からめっちゃ舐めあげるかのように睨みつける。やからかよ。


「う、カブトムシ臭い。あなたエルフね。見るからに邪悪そうね。大いなる者よ正義の天秤をいまここに『邪悪探知センス・イービル』」


 エルエルの口から力ある言葉が流れ、その目が金色に光る。すこし怖い。多分今ののは神聖魔法の一種。聖邪を判別する魔法。


「汝は邪悪なり!」


 エルエルは飛びすさるなり、その手に輝く光の槍が現れる。魔法の無駄だな。ベルは邪悪以外の何者でもない。


「ウシオ。止めろ」


「承知いたしました」


 瞬時にして、ウシオがベルとエルエルの服の襟首を引っ掴む。プラーンとしてて、猫が掴まれてるみたいだ。


「お前らは、猿かなんかか? 目、合わせただけで喧嘩するな」


「マリーさん、コイツは邪悪です。生かしておけば災厄しか生まないです」


 エルエルが言い募る。


「ベルが邪悪なら、コイツは何なのかしら。この波動、こいつ死王でしょ」


 ベルがエルエルを睨む。


「ぐううううっ……」


 エルエルが唸っている。実際の会話で『ぐぅ』って言うのを初めて見た気がする。


「エルエル、こいつは邪悪かもしれないが、一応僕の仲間だ。正直、人をデブにしたり、人の服を脱がしたり、大便にしか見えないような食べ物を生み出したり……」

 

 ん、ベルって最悪な生き物だな。やっぱり抹殺して貰ったほうが世界の為にいいのでは? いままでのベルの所業を思い出すと、なんだか腹立ってきた。


「ウシオ、2人を離してやれ。エルエル、邪悪を滅ぼせ」


「承知いたしました」


 ウシオが手を放すと、ベルとエルエルは対峙する。滅ぼすはやり過ぎにしても、ある程度痛い目を見せてほしいものだ。


「邪悪な者、その性根たたきなおしてやる」


 エルエルの両手に光の槍が現れる。叩き直すまえにやっちまうのでは? ここは止めるべきか?


「ベルがそう簡単にやられると思ってるのかしら? おめでたい奴ね。マリーとの間にパスは繋がったわ。お前は血の気が多いからもっと穏やかになって貰うわ」


 そのベルの言葉を聞いたとたん、サリー達や、アルス達が瞬時に消え去る。何をする気なのかすぐに僕も解った。置いてかないでくれ。僕も嫌だ!


「極限魔法『平和な世界ピースフル・ワールド』」


 ベルの両手から放たれた光は弾け辺りを呑み込みつくし、平和という名の地獄が顕現した……



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