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第二十一話 戦いの後


「破滅の聖女、済まない。私は長い長い夢を見ていたようだ」


 死王だった者は身を起こすと、僕に深々と頭を下奴げた。ノリと雰囲気でなんか悪い奴じゃ無さそうだから助けたけど、いきなり襲いかかってきたらどうしようかと内心ヒヤヒヤだった。


「ご主人様、この鳥どうしましょう? むしって食べますか?」


 む、いかん、ウシオな中では羽根が生えているものは鳥認定で食材なのか? これはしっかり教育する必要がある、人語を解する者は食べないようにさせないとな。


「むしって食べるなどとは、なんと下劣な。そう簡単に私が体を許すと思ってるのか?」


 元死王は自分の体を抱き締める。何勘違いしてるんだろうか? ウシオは鳥人間なんかに興味無いつーの。自意識過剰だな。


「んー、天使さん? そういう意味じゃなくて、単なる冗談だよ。ウシオ、多分コイツは鳥じゃなく天使だ。食べても旨くないとおもうぞ」


「そうですね、よく見ると脂多そうですね。炊いても旨くなさそうですね」


「ちょっと待った。なんか私が太ってるような事言いましたね。その言葉は許せませんね!」


「おい、もうそれくらいにしとけよ。とりあえずここを出るぞ」


 なんかワキャワキャしてていい感じに和む事が出来たように思える。やっぱ、元は死王だったとは言え、見た目通りと言うか悪い奴ではなさそうだ。

 僕はウシオにまた負ぶってもらって、元死王はふよふよ空中を漂って、穴から抜け出す。


「マリーちゃん!」


 サリーが駆け寄ってくる。その後にはアナとモモさんとシェイドが肩を組んでいる。服もなんもかんもボロボロだ。


「大丈夫かっ?」


 アルス、それに王子と学長も集まってくる。さすがだ。みんな無事みたいだ。けど、ベルが見当たらない。さすがにあの衝撃だ。ベルはもう……


「マリーちゃん、その人は誰?」


 サリーが怪訝そうな顔で天使を見ている。何て言おうか?


「皆さん、私の名は、エルエル。そうですね、元、皆さんが言う死王だった者です」


 一気に、辺りの空気が殺気立つ。僕とウシオ以外は距離をとって構える。


「おい、待て。大丈夫だ。こいつは邪悪な者じゃない」


 僕は元死王、エルエルの後ろに回って、その口をビローンと横に引っ張る。


「なひするんですかっ!」


 何かエルエルが、フゴフゴ言っている。けど、これでコイツの人畜無害さが証明出来ただろう。一瞬、胸を揉みしだこうかと思ったが、それで逆上されたら逆効果だと思って我慢した。


「とりあえず、戻るぞ話はそれからだ」


 僕たちは残りの仲間と合流する事にした。帰る途中、ベルの事を口にする者は居なかった。

 

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