第十六話 合流
『骸骨城の北の沼地の入り口付近にいるよ!』
母さんの念話に僕は答える。
『らじゃー!』
相変わらず緊張感のない間の抜けた声が返ってくる。
それにしても、母さんからの念話は久しぶりだ。迷宮都市の方は一段落ついたのだろう。心のそこからよかったと思う。
それから僕たちは軽く朝食を取ると、ぼーっとしながら、コーヒーなど飲んで、母さん達を待つ。
最近はバタバタしてたから、こういう時間は心地よい。もともと引きこもりだし。
程なくして、南の空に、きったねー飛行艇?が見えてきた。アホ面してるでっかいイカの化け物の下に籠が吊されてる。しかも、粘液が風に靡いて糸を引いている。
ロザリーとメイさんの顔が引き攣る。
僕は誓う!
あれには二度と乗らない!
人目のある所では。恥ずかしすぎる。
「マリー!邪神が7柱と魔神が3体いるわ!こちらの戦力ではちと不味いのではないか?」
ロザリーが身構える。そだね、フツー敵だと思うよね、ビジュアル的に。
「大丈夫だ。あれは仲間だよ」
「ええーっ!ここで最終戦争がはじまるかと思ったわ!」
ロザリーが目を見開く。最終戦争?この世の終わりの光と闇の戦いだったっけ?あいつら、吸血女王が驚くほどの人外になったのか?
「マリーちゃん!どーなってるの?」
母さんが、最初に籠から飛び降りてくる。結構高さあるぞ。
「それは幻体か?久しぶりだな。精霊女王」
ロザリーが僕の前に出る。
「私は精霊女王じゃないわ!とりあえず焼き尽くしてやろうかしら。ゴキブリ女王」
「ゴキブリちゃうわ!ヴァンパイアだわ!」
ロザリーは拳を握りしめ、母さんに襲いかかる。
母さんとロザリーは置いといて、みんなと久々の再会を喜びあった。
面倒くさいので、みんなを座らせて、今までの説明はサリーに全て丸投げした。
「……と言うわけよ!」
サリーの説明が終わったが、サリーの分身が暴れまわった事についてはかなりオブラートに包まれていた。
「サリー、死ねばいいのかしら。お前も元凶の一人よ!」
ベルのツッコミをサリーはスルーする。
「と言うことは、その骸骨城の跡の塩の山一帯では、魔法やスキルはつかえないのね。じゃあ、あたしは行けないわねー」
母さんがくねくねしながら言う。巨大な胸がぶりんぶりん揺れる。男性陣の目は釘付けだ。こんなミセスのどこがいいのだろうか?
素アビで強いメンバーといえば、アルス、王子、ウシオ、モモさん、アナ、サリー位だろう。後のメンバーは実際行ってみないと解らない。
と言うわけで、行ってみないと解らないので、とりあえず、みんなでぞろぞろ塩の山の麓まで行くことにした。
濃いメンバーなので、正直うっとおしい。死王と戦いになる可能性が高いので、もしかしたら誰か犠牲になるかもしれないという状況だけど、そんな空気が微塵もしない。人外ばっかだしな。
そうこうしてるうちに塩山の麓についた。




