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第十五話 清々しい朝


「おはよう。キラさん」


「おはよう、マリー」


 サリーとベルが僕にしがみついてくる。


 女から男への変身の痛みで僕は起きた。


 僕の腕の片方にはどっさりとした柔らかいものが、もう片方にはぷるぷるとした柔らかいものが触れている。


 幸せだけど、正直朝一これはきつい。


 もうグングニルだよ……


「あの、離れてもらえないでしょうか?」


 僕はおずおずと口を開く。ベルが僕の顔をのぞき込んでくる。その口の端が歪む。


 ベルが勢い良く布団をまくり上げる。


 破れかけたネグリジェを天をついて僕のグングニルが押し上げている。


「キャー!変態よ!変態かしら!」


「女装して、下半身を大きくしてる変態がいるわ!」


 ベルとサリーが嬉しそうに騒ぐ。本当に楽しそうだ。困ったものだ。軽くお仕置きしてやろうか?


「キラさん、死王と遭遇するかもしれないから、キラさんは…」


 サリーが芝居がかった声と表情で僕から目を逸らす。


「キラは役立たずよ!早くマリーに戻りなさい!」


 サリーの言葉をベルが継ぐ。おいおい以心伝心、仲良しかよ。


 騒ぎを聞きつけたのか、シェイドがウシオを連れてくる。おい、段取りいいな。


「ご主人様、こう見るとハーレム主人公みたいですね。もっとも、女装しおりますので、頭に変態っていう言葉がつくかもしれませんが」


 変態ハーレム主人公?ウ、ウシオがジョークを言った。しばらく見ないうちに成長したな……


 多分母さんの悪影響だろう。僕のウシオが大人になっていく……


 まあ、ベルの言うとおりだ。相手が死王というアンデッドの王である以上、破滅の聖女マリーの方が役に立つだろう。僕はウシオの差し出した手に触れてマリーになる。


「ウ、ウシオさん!何してるのですか?」


 破れたネグリジェのキラである僕とウシオが手を触れている所に、ちょうどメイさんがくる。


「や、やっぱりウシオさんは…」


 メイさんが走って消える。BLと間違われたらたまったもんじゃない。


「ウシオ!行け!面倒くさいから全部説明しろ!」


「承知いたしました!」


 ウシオはメイさんの去った方に駆け出す。


「面倒くさい体してるな……」


 ロザリーがいつの間にかベッドの端に座ってカップで何か飲んでいる。


「ロザリー、いつの間に。それより、お前、僕の体質についてなんか知らないか?」


「考察料、小金貨一枚」


「お前、僕もお金無いんだ。ケチケチするなよ」


「私は、全財産失ったのよ!その上、部下たちも養わないといけない。必要なのよ!お金!お金!お金が!!」


 ロザリーはギラギラした目で僕を見る。

 

 こいつに仕事を斡旋しないとたかり尽くされそうだ。


「マリーちゃん。こいつ考察って言ったから大した情報じゃないわ。今日はスルーしましょう」


「そーだね」


「うっ……」


 多分図星だ。ロザリーは顔を引き攣らせてホットな謎液体を飲んでいる。


『マリーちゃーん。今、何処にいるのかなーっ?』


 僕の頭の中に間の伸びた母さんの声がする。


 母さんからの久々の念話だ!



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