第十四話 魔王の欠片
「じゃ、最初に聞きたい事がある。さっき言ってた魔王の欠片って何なんだ?」
僕はじっとロザリンドを見る。ロザリンドは口を開く。
「それは…」
「待って、それは、私が答えるわ」
サリーかロザリンドの言葉を遮る。それならお金払う必要ないな。
「昔々、神話の時代、光の神々に敗れた闇の神の王が滅亡の際に自分の魂をいくつかに分けてあちこちにばらまいたと言われているわ。その闇の王の魂の欠片は別名魔王の欠片って言われてる。それを持つ者は強大な力を手に入れる事が出来るけど、代償として魂が闇に染まると言う。歴史に名高い魔王の幾人かはそれを有してたそうよ。そして、多分、死王も」
なんか聞いた事が有るよな話だけど、自分に余り関係無さそうだったので、何回聞いても忘れてしまいそうだ。その魔王の欠片っていうものが、死王を狂わせているならそれを取り除けば死王と戦う必要はないんじゃないか?
「魔王の欠片って取り除けないのか?」
「それは……」
「無理だと思うわ」
また、サリーがロザリンドの言葉を遮る。
「おい、デカ乳、私にも話させろ。全てを失った私にはお金が必要なんだ」
ロザリンドがサリーを睨む。
「それはあなたの都合でしょ、お金払うのはあたしだから、少しでも無駄遣いはしたくないの。デカ乳って呼ばないで。あたしの名前はサリーよ」
「じゃあ、サリー、私が話してもいいか?」
「だめーっ。言ったでしょ、お金をはらうのは、あたし!あたしが話す以上の事で価値があるって認めたら報酬をはらうわ」
「そうか……」
ロザリンド、少ししょんぼりだ。
「有史以来、魔王の欠片に魅入られた者で生き残った者はいないわ。だから、死王は倒すしかないと思うわ」
サリーがそう言うなら今まで魔王の欠片ってものを取り外した前例が無いって事か。そもそもどういう物質なのか解らない。
「お前達、あれと戦う気なのか?お前達もそこそこ強いかもしれないが、あれは別格だぞ」
ロザリンドは死王の部下だったって話だけど、忠誠心は無いようにみえる。
「そんなに死王って強いのなら。もしかしたら、ロザリーみたいに塩から這い出して来てるかもな」
僕は、サリーがロザリンドの事をロザリーって呼んでるから、試しに言ってみる。スルーされたからオケだな。
「それは今の所ないみたいだ。死王の気配が未だ塩山の辺りから動いていないからな」
「ロザリー、死王の居場所わかるの?」
サリーが食いつく。僕も思った。
「当然、部下だからな」
おお、意外にロザリーは便利だ。いい死王探知機になりそうだ。
「まあ、今日はこれくらいにするか。なんか飯食って眠くなってきたから、そろそろ片付けて寝よう」
多分、明日位には、迷宮都市の仲間達と合流出来るのでは?
明日はのんか大変な事になりそうだからしっかり休息したい。
今日は大したことしてないが、主婦業は結構大変だった。大家族のお母さんになった気分だ。風呂を追い炊きして、僕は先にお風呂は入ったので寝室に逃げ込んだ。
なんか忘れてるような気がするが、さっくり眠りについてしまった。