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第十一話 お食事代


「ロザリンドさん、先ほど対価っておっしゃいましたよね!」


 サリーがロザリンドに微笑む。


「言いましたけど、それが何か?」


 ロザリンドはツンとすまして答える。生意気だな。


「あなたに払えるのかしら?」


 ベルが口を挟んできた。


「失礼ね、わたくしはヴァンパイアの女王ですよ!」


「女王って言ってるけど、部下や国民はいるのかしら!」


「それで、お金はもってるの?」


 サリーとベルが嬉しそうにからむ。ロザリンドには身一つしか無いのを知ってて言ってる。


「今は部下はいないし、何ももってないわ…」


 ロザリンドはうつむく。


「それでは、何をもって対価を払うのかなー?」


 サリーが意地悪く笑う。


「しばらく待ってくれたら、食事分の金額くらい払うわよ!」


 ロザリンドの口調が変わった苛ついてきたな。


「じゃ、誓って、ヴァンパイアの女王の名にかけて食事分の代金を払うと」


「たかだか、食事代で大袈裟じゃない?」


「へー、ヴァンパイアの女王って、たかだか、食事代払う事も誓えないの?」


 サリーが目を細める。


「わかった。わかった。ヴァンパイアの女王の名にかけて、さっきの食事代金を払うわよ」


 呆れたようにロザリンドは言う。


 サリーの目が光る!


「言質取りました!ロザリンドさん、あなたさっき何を食べたと思う?」


「え、鳥かなんかじゃないの?」


 ロザリンドは興味なさげにコーヒーを飲む。


「ロザリンドさん」


 サリーはロザリンドの顔をじっと見つめる。


「あなたがさっき大量に食べたのはドラゴン。ドラゴンよ!」


「ぶぶっ!」


 ロザリンドは盛大にコーヒーを噴き出した。


「ど、ドラゴン!そんなものの肉がそう簡単にあるわけないでしょ!」


 ロザリンドはそう言うが声が震えている。気づいたのだろう肉の正体を。そしてその価値を。


 僕はテーブルから離れて、記念にとっておいた水竜うなぎの頭を収納から出して頭上に掲げる。


「ひっ!水竜王!」


 ロザリンドは軽く悲鳴をあげる。


「ウシオ!どうやってこの大ウナギを捕ったか教えてやれ!」


「斧で、首を一撃」


 ウシオはきょとんとしている。多分、ウナギごときでなに騒いでんだろと思ってるのだろう。


「はい!ウシオもう一回!」


「斧で、首を一撃!」


 首の切り口をみせて。


「はい!」


「斧で一撃!!」


「それでは、みんなご一緒に!」


『斧で一撃!!!』


 音頭をとるごとにロザリンドの顔はこわばりみるみる青くなる。


 やたらでかいなと思ったら水竜の上位種だったのか。


 ロザリンドも馬鹿じゃないから解るはず。ドラゴンの肉の希少価値と、その強力なドラゴンをウナギ呼ばわりして一撃でしとめたウシオの強さを!


「では、ロザリンドさん、対価を求めてもよろしいのでしょうか?」


 サリーが慇懃無礼に追い込みをかける。まあ、ドラゴンの肉なんて市場に出回らないから価値のつけようがないが、あれだけ食べまくったので、安く見積もっても大金貨百枚くらい請求されても文句は言えないだろう。


 そろそろ落とし所だろう。


「ロザリンドさん、私たちは別にお金がどうこう言うつもりは無いんですよ、ただずっと仲良くしましょうって言ってるだけですよ!」


 僕は押さえていた聖気を解放する。


「聖女!お前は破滅の聖女!」


 ロザリンドは目を見開く!


 また新しい中二ワードが出てきたな!


 破滅の聖女とはひどい言われようだ!


「わかった……ヴァンパイアはお前たちと永遠に争わない。いや、むしろ、すみません私達と仲良くしてください…」


 ロザリンドは椅子から降りると、地面に頭をつけた。


 少しやりすぎたかな……



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