第五話 収穫
「マリーちゃん!大量よ!」
サリーが持ってきたのは袋いっぱいのみかんだった。フルーツを採って来る所が女の子っぽいな。
とりあえずキッチンに持っていく。
「湿地帯の奥に山があって、そこになってたわ。鑑定したから食べられるはずよ」
まだ青い小さいのと、黄色く熟したのの二種類あって、品種も違うように見える。試しに口にすると、黄色いのは甘くて、青いのはレモンのように酸っぱい。青いのは冷たい炭酸水に入れたら美味しそうだ。
「けど、よくこんな実が沢山あったな」
「そばにドラゴンゾンビがうようよいたから、多分普通の生き物は居ないんだとおもう」
「え、それって大丈夫だったのか?」
「何故があたしには襲いかかってこなかったのよね?」
もしかして、闇属性のおかげで仲間認定されてたのでは?恐ろしくて口には出来ないが…
「そういえば、黒ベルは大丈夫なのか?」
「行きは襲いかかってきたけど、帰りはみかんあげたら喜んでたわ!」
流石ベルの分身。食べ物には弱いのか。
「帰ったぞ!」
元気いっぱいな声、次はシェイドだ。
シェイドの収穫してきた物は袋いっぱいのキノコだった。
「まわりのものを鑑定して食べられる物を集めてきたぞ!」
なんか、けばけばしい色の物も混じっているけど、大丈夫なのか?
「見たところ、毒キノコはないわね!」
メイさんが一つ一つ念入りに見ている。そして三つのグループに仕分けしている。
「それって、どういう基準で分けてるのか?」
「絶対安全と、軽い特殊効果ありと、重い特殊効果ありの三種類よ」
「メイさん!絶対安全以外は捨てよう!」
「え、もったいないわよ!エッチな気分になったり楽しい幻覚が見れるのもあるわ!乾燥させたら高く売れるのよ!」
いいのかよ、それって麻薬なのでは?
「サリー、その毒キノコ、外で焼却してきてくれ!」
「りょーかい!」
しぶしぶ、メイさんはサリーにキノコを渡した。
しばらくしてサリーは戻ってきた。
「ただいまーっ!」
ベルの声がする。嫌な予感しかしない…
「見てみて、大量よ!」
ベルの袋には茶色い棒状の物が入っている…
性懲りもなく…
「ベル。やると思った。アンブロシアは捨ててこい」
「ププッ!よく見て!アンブロシアにしては大きいかしら!いつも同じ事はしないのかしら!」
「じゃ、これはなんなんだ?」
「蓮根よ蓮根!」
蓮根とは渋い!
けど明らかにアンブロシアっぽいものを狙いうちでとってきたな。ただ僕の裏をかくために。
ベル相変わらず恐るべし。
「ただいま戻りました」
次はウシオが帰ってきた。