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第六十四話 生還


「ウーシーオー!起きろーっ!」


 僕は叫ぶ。返事はない…


「声が届けば牛男は牛男なら自力出て来るはず!みんな手伝ってくれ、さん、はい!」


『ウーシーオー!』


 みんなで大声で叫ぶ。一応敵地だけど、アンデッド達はもし無事だったとしても、かなり下に埋まってるはずだから、そうそう襲われる事はないだろう。


 塩山の一部がモコモコ動く。


 ザシャーッ!!


 そこが大きく弾け、煙をあげながら大量の塩が空に巻き上げられる。


 塩が降り注ぎ収まると中心に黒い影が見える。角が見える。


 牛男だ!


 僕の牛男だ!


 何かを脇に抱えている。


 牛男はゆっくりと大地を踏みしめながら僕達の方へ歩いてくる。食い込んだパンツを穿いている。全裸でなくて良かった!抱えてるものも見えてくる。シェイドだ!


「ご心配おかけしました。お待たせ致しました」


 僕は塩に足をとられながらも牛男に抱きつこうとする。けど、先を越され誰かが牛男に抱きついた。牛男はシェイドを取り落とす。


 メイさんだ。


「牛男さん、無事だったのですね!」


 潤んだ声で囁いてる!


「あの、メイさん、わたくし女性に免役なくてですね、その、なんといいますか、ハグは勘弁していただけないでしょうか?」


 牛男はたじたじだ!


「すみません、舞い上がってしまって…」


 メイさんの今の格好は百歩譲っても痴女だ。僕でも抱きつかれたらたじろぐだろう。

 

 けど!


「先を越されたけど!隙ありっ!とうっ!」


 僕は牛男に飛びついて抱きしめる。牛男は優しく抱きとめる。


「ありがとう!牛男!おかげで塩漬けは免れた!むむっ!塩臭いなお前!」


「もったいないお言葉です!けど、よろしければ、その格好でのハグは…」


 そういえば、僕は上はブラのみ、下は布を巻いただけだった。


「はいはい!わかったよ!」


 僕は牛男を解放する。次は、塩に落とされた可哀想なシェイドに近づく。シェイドも下着姿で、布面積は最小限でお尻は丸出しの多分サンドリバーのスケスケ下着だ。暗いので透けていないのがせめてもの救いだ。


 サリーが駆け寄って来て、僕とサリーはシェイドを揺する。大きな胸がぶるぶる揺れる。


「シェイド、起きてるぞ!痺れて動けないだけだぞ!」


 シェイドは薄く目を開き、力無く笑う。僕達三人は強く抱きしめあった。


「ここをはやく離れるのかしら!このままだと脱水症状でみんなお陀仏よ!」


 ベルがとことこ歩いて来る。なんか、腹立つけど、確かにその通りだ。


 満身創痍だけど、なんとか全員無事に帰る事が出来そうだ。死王討伐に来たはずだけど、僕は全く何もしてないのは気のせいだろうか?


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