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第五十六話 サリーの分身


「とんそくって、豚の足の豚足の事かしら?」


 ベルがサリーに聞く。


「確かに、ゾンビって肉から骨が飛び出してるのが豚足っぽいとは思ったけど、大声で叫ばないでーっ!」


「サリーって、豚足が好きなのか?」 


 僕は素朴な疑問を口にする。


「とーんーそーくー!」


 ジャイアントシャドーサリーが叫ぶ!


「そうよ!豚足、大好きよ!だからって大声で叫ばないでーっ!」


 ジャイアントシャドーサリーはしゃがんで、辺りのアンデッドを掴み齧り付く。


「それ、豚足じゃないから、食べないでー!あたしの格好で変な事しないで!」


 サリーの叫び虚しく、ジャイアントシャドーサリーは手当たり次第アンデッドを貪り食う。正直、気持ち悪いし怖い!


 サリーの心の叫びが届いたのか、ジャイアントシャドーサリーは立ち上がる。スカートの中身まる見えだ。パンツまる見えで、しかも食い込んだお尻とその前の形もくっきりと分かる。僕はたまらず目を逸らす。


「キャー!みんな見ないでーっ!分身、座ってー!」


 後の祭りだ。みんなガン見した後だ。黒色で透けて無かったのがせめてもの救いだ。ショーツにあしらわれたレースとかも完全に再現されていた。


「サリー、良かったわねパンツ穿いてて」


 ベルが慰め?る。


「じゃっかあしいわ!パンツ位はいとるわい!」


 サリーの人格が若干変わっている!


 ん、という事は?


「シェイド!ベルの下着チェックだ!」


「了解!」


 シェイドはベルの後ろにまわると、ベルの襟元から手を突っ込む。


「つけとりませんでーす!」


「ベル!アウト!シェイド、部屋に拉致して装着してきてくれ!」


 シェイドはベルをひょいと抱えて、僕の影に入って行った。その時スカートがめくれてベルの生お尻が見えた。という事は、大人バージョンの時もつけてなかったのか!もっとしっかり見とけばよかった、じゃなくて、しっかり教育しないと社会適応させるために。


 僕らの周りでは地獄絵図が繰り広げられている。


 ジャイアントシャドーサリーは、サリーの願いを聞いたのか、地べたにあぐらをかいて、手当たり次第にアンデッドを貪り食っている。おっさんみたいだ。こちらに背中を向けてるのがせめてもの救いだ。


 それを遠巻きに黒ベル達がアンデッドにアンブロシアを投げまくって、ドロドロ溶かしまくっている。ぐちょ!べちゃっ!とか、きったねー音をたてながら。


 黒ベル達でさえ、サリーの分身は恐ろしいらしく、視界に入れないようにしてるように見える。


「完全に私の出番ないですね…」


 サリーから斧を受け取った牛男が、それにもたれかかって黄昏れてる。


「冒険者って本当に大変なのですねー…」


 メイさんがしみじみと呟く。


「そんなことないから、ベルがからんだらこうなるだけだから!」


 僕は、メイさんに一応一言言っておく。冒険者を誤解したまま受付をしてたら、彼女の仕事に支障をきたすかもしれないので。


「シャドーサーバントって実体ないんじゃないのか?どうして黒サリーはアンデッドに攻撃出来てるんだ?」


 僕はつい疑問を口にする。答えは期待せずに。


「それは、強い思いが、あいつの部分部分を実体化してるからかしら!」


 僕の影からベルが飛び出して来て、僕に答える。


「変な事いわないで!確かに少し運動してお腹減ったなとは思ったけど、決してアンデッドを食べたいとは思ってないわ!」


 戦いの中でそう思ったサリーの神経はかなりのものだと思う。さすが黄金認識標の冒険者。


「サリー、あれはなんとかならないのか?なんか、色が黒いから、シェイドがゲテモノ食べてるようにみえるぞ!」


 影から出たシェイドがサリーのそばに行く。


「シェイド!力を貸して、二人がかりでコントロールしましょう!」


 サリーはシェイドの手を握る。


「あたしの分身!戦って!」


「わーかーっーたー!」


 お!コントロール出来たのか?


 ジャイアントシャドーサリーは、四つんばいになり、高速はいはいしながら、今までより激しくアンデッドを食べまくる。もはや、獣だ!パンツまる見えで激しい動きでお尻に食い込んでいる。晒し者だ!


「ベルのシャドウもお馬鹿だけど、サリーのシャドウはそれ以上ね!これでも食べて、心を落ち着けるかしら!」


 ベルはほかほかの蒸かし芋をサリーに差し出す。


「じゃっかあしいわ!芋など食うか!」


 いいつつも、サリーはばっとベルから芋を奪うと食べ始めた。サリーの顔がぱっと明るくなる。


「美味しいわ!これ!」


「ベル!僕にもくれないか?」


「私も頂きたいな!」


 牛男もお腹すいたのか?


「銅貨一枚かしら!」


 僕はベルに銅貨五枚渡し、みんなに芋を配った。当たりだ!とろっとしてて甘い!


 僕達は、芋に舌鼓を打ちながら、まわりの戦いは無かったことにして、しばらく談笑した。


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