第四十六話 痛恨の間違い
「黒ベルに会いたくないから、あたし隠れとくわ!」
サリーは僕の影の中に入って行った。ちなみにウシオは早々と隠れている。ウシオも黒ベルには会いたくないのだろう。シェイドは今日はほとんど見てない。部屋の掃除と改造をしてるらしい。
僕はパペットマンから貰った露天風呂へのマップを握りしめている。扉を開いたら白い壁の宮殿エリアに入ったので、サリーはシェイドの部屋に行った訳だ。
黒ベルは問答無用でサリーには襲いかかってくる。サリーはベルに太らされた経緯があって、ベルに深い恨みを抱いている。ベルに対する敵意を持つ者に襲いかかってくる黒ベルは、サリーにとって天敵だ。
もう太っている僕が気をつけるべきなのは、黒ベルの魔法の分子分解だ。服を塩に変えられてしまう。
扉を開ける。通路を歩くを繰り返す。黒ベルに何体か遭遇するが、知らん振りして何とかやり過ごす。扉をくぐるたびに、すれ違う黒ベルが増える。正直しんどい!そのうち何体かは僕に付いてくる。
心を無にして歩いていく。数体の黒ベルがついてきてるけど、気にしないようにする。黒ベルとすれ違うが、奴らは僕の胸やお尻を触っていきやがる。かなり不快だ!何体いるのだろう。軽く数十体はいるのでは?気が付くと僕の後ろには溢れんばかりの黒ベルがついてきていた。なんか気持ち悪い!嫌な予感しかしない。なんか装飾華美な扉につき、なんも考えず開けてしまった!
広い部屋の中央には天蓋つきのベッドがある。見たことのある光景だ。僕の後ろから、黒いもやみたいなものが、ベッドに向かって次々と飛んでいく。振り返ると、黒ベルが溶けてもやになって飛んで行ってる。それはベッドに寝てる何者かに吸い込まれていっている。
手に握ってるマップをみると、間違ってベルの部屋のを持っていた!
やっちまった!
黒ベルはすべて消えて、ベッドの人物が上体をおこす。
こちらを向く。
「子豚?」
その人物は、そう言うと、いたずらっぽい顔で僕に笑いかける。そのセリフは、僕が初めてベルに言ったセリフだ!
「マリーを豚といって、死にたいのかしら!」
たしか、ベルはこんな事を言ったはず!
「おはよう!マリー!とっとと行くかしら!」
ベルは僕の方に歩いてきたので、全力で逃げ出した!