第三十三話 捕虜
『マリーちゃん、ぱぱっとヒールかけて浄化しちゃいなさい!ヴァンパイアなんてゴキブリと一緒なんだから、黒いしキモいし、なんか飛んだりとかするし!』
僕達は、ヴァンパイアロードエビシをふん縛ったまま孤児院に戻った。転移魔方陣を悪用されないように、アルスと学長は残してきている。よほどの事がない限り2人は大丈夫だろう。孤児院に戻って奥の母さんの所に連れていったら、問答無用でエビシの浄化を勧めてきた。ちなみに母さんは目を閉じたままで念話で話しかけてきた。
「待たれよ!マダム、私を浄化しても、あなた方にはなんのメリットもないぞ!それこそ魔力の無駄というものだぞ!」
僕はなんだか少しこいつに興味が湧いてきた。間の伸びた話し方をするから三枚目っぽいが、よく見るとしっかりとした体格で整った顔をしている。生意気な事にアングロサクソン系の顔だ。
「ところで、お前たちは、血を吸わないと生きていけないのか?」
「なんだ!冬瓜娘、ヴァンパイアに興味がわいたのか?そうか我々は美形ぞろいで皆テクニシャンだからな!」
僕はエビシ軽く脇腹をつんつんしてやる。なんか煙が出てくる。僕から漏れる聖気によるものだろう。
「熱っ!熱っ!わかった止めてくれ!そうだ、血を吸わないと餓死してしまう!」
血を飲まないと死んでしまうのか。なかなか不便な生き物だな。どうすればいいかな?
「そうか、わかった今日からお前は魔物か動物の血を吸え!人や亜人の血を吸ったら、そっこー、浄化してやる!指先足先からじわじわとな」
これで、エビシの食糧問題は解決だ。
「なんで、ヴァンパイアロードの私がそんなことせねばならぬのだ?」
「そうか、そんなに灰になりたいのか?」
「いえ、こう見えてもわたくし動物愛好家で、動物の血を吸うのはちょっとかわいそう的な…」
「ほう、動物よりゴブリンやオークの方がいいのか?変わった奴だな!僕はそれでも構わないが、より品性が低く見えると思うぞ!」
僕は目を細めてエビシを見据える。
「嘘です!わたくし動物の血が三度の飯より大好きです!」
よし、素直でよろしい!
「それで、本題だ。お前の忠誠心は何であがなえるのか?対価を払うから僕の部下になれ!」
転移系の魔法が得意で、死ににくい。僕たちにとっては、とっても優良物件だ。すこし変態のにおいがするが、この際我慢してやろう。
「ううむ。なんか、悪魔みたいな事いう小娘だな」
エビシは目を閉じる。なんかいろいろ考えているのだろう。
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