第三十二話 ヴァンパイアロード
「私は闇の王の忠実なしもべのうちの一人ヴァンパイアロードエビシだ、次は誰だ？前に出ろ！」
ヴァンパイアロードエビシと名乗った者の視線がウシオに注がれる。
首を失ったウシオの体はしゃがみ込むと首を拾って元の位置に置く。即座に傷は消え去る。
「すまないが、次も私だ！もしかして、お前が迷宮都市に転移魔方陣を置きまくってる者か？」
「ほう、そうか貴様もアンデッドなのか？素晴らしい再生能力だな」
「違う！私はアンデッドなどという下等な者ではない！」
「そうか。ではその再生能力、貴様は魔神なのだな」
「違う！私は魔神ではない！」
「そうか！わかった、貴様もアンデッドなのだな！ならわが軍門に下れ！」
「違う！私はアンデッドではない！」
「ウシオ、相手にするな。あいつは多分、馬鹿だ。会話が成立してないぞ」
「そこのウォーターメロン乳！私のことを馬鹿と言うお前こそが馬鹿だ！」
「どこがウォーターメロンだ！西瓜二つつけてたら動けんわぼけぇ！」
「ほう、ウォーターメロンでない！ということはまくわ瓜か！いや、冬瓜だな！」
「西瓜も冬瓜も大きさ変わらんやろぼけぇ！」
「西瓜は縞がはいってて、冬瓜ははいってない！確認してやる！出してみろ！」
「そうなのか？わかった！確認してくれ！」
僕は水着に手をかける。
「ディスペル！」
サリーの手が僕の頭に触れる。
「危ない危ない。あと少しでまた脱ぐ所だった！」
「マリーちゃん。魅惑の魔法よ目を見ちゃ駄目！あいつ見た目より馬鹿じゃないわ。時間稼ぎよ！」
「ほう、以外にまともな奴もいるみたいだな！だが、戦場に水着で来るとは正気ではないな。全員まとめてひんむいてやる！こい！アンデッドナイト！」
空中に無数の魔方陣が現れそこから金色の鎧の騎士が現れる。風のようにウシオが走り、騎士達が着地する前にことごとく斧で両断していく。
「お前はやはり馬鹿だな！戦いにおいて着地するという行為は狙いうちしてくれと頼んでいるようなものだ」
ウシオは僕達の前に立つとヴァンパイアロードエビシに片手で斧を向ける。ウシオかっけー！
「なかなかやるようだな。だがここでは私は全力を出せない。なんせ熱いからな。決着は骸骨城でつけよう」
エビシはそう言うと足下から霧になり始めた。
「ディスペル！」
サリーの声が響く。しばらくして、僕達の前にはぐるぐるに縛られたエビシが転がっていた。首にはいつの間にか吸魔のロザリオがつけられている。サリーこえぇ！
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