第三十一話 人化した牛男
「ウシオ、人間になったのか?」
さすがに人間で牛男はおかしいから、今後はウシオと呼んでやろう。字は違っても発音は一緒だが。
「はい、力をセーブしたら人間に変身出来るようになりました。これで、今後はご主人様を護衛しやすくなります!」
「おお、ウシオのご主人様ってマリーだったのか!良かった恋敵にはならなさそうだな!」
上半身裸の光るマッチョのアルスだ。なんかこいつも脱いでばっかだな。
「お兄ちゃん、ちゃんと服ぬいだの?」
「すまん、また破いた…」
「お洋服もただじゃないんだから、大切にしてね!」
よかった。リナは無傷みたいだ。そうだった。リナとアルスは兄妹だったな。
「遅かったな!待ちくたびれたぞい!」
上半身裸のマッスルじいさん、学長だ。こいつも裸率高いな。もっと文明的な生活をしてほしいものである。かくいう僕達も水着なのでなにもいえないが。
ズリッ!ズリッ!
ドラゴンゾンビの体が少しづつ近づいていってる。触れた所はくっつき初めている。
「タッチヒール!」
僕はドラゴンゾンビを癒す。光に包まれて骨だけが残った。
「破壊し尽くすか、燃やし尽くすか、浄化しないとまた蘇生するのじゃよ!まだ数匹いるから退治するぞい!」
じいさんは拳をぽきぽき鳴らす。凶暴なじじいだ!
サリーとシェイドとリナが攪乱し、ウシオ、アルス、じいさんが破壊して僕が浄化する。それを数回繰り返す。
サリーもリナもヒール系の魔法は使えるが、ドラゴンゾンビになると大したダメージは与えられないらしい。
あと、じいさんは肉弾戦ばっかでほぼ魔法を使わなかった。魔道学院は魔法を教える所ではないのか?
やはり、前衛は大事だな、アタッカーやタンクがいるのといないのでは、効率がぜんぜん違う。あと、僕達も武器が必要だな。正直、ドラゴンゾンビを舐めすぎてた。決して水着で戦うものじゃないな。けど、時間をかけたら僕一人で壊滅出来たと思う。まあ、相性の問題だけど。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「これで、あっちからは来れなくなったぞい!あと、こっちからは行けるようにしたぞい!」
じいさんが、ドラゴンゾンビを呼び出していた魔方陣を見つけていじくった。魔法陣は平たい大きな岩の上にある。やっと魔法使いっぽい事をしてる。
「ということは、ここから攻め込む事が出来るのですね。いかが致しましょうかご主人様?」
「ウシオ、明日の昼まで仲間達が修行してるんだ。合流して、みんなで攻め込もう」
「じゃがどうする?一旦孤児院に戻るか、それともここで待つか?」
じじいが僕に問いかける。
「マリーちゃん!変な気配がする!」
サリーが辺りをキョロキョロと見渡す。
急に辺りが暗くなる。ここは太陽が浮かんでいるが、急にかき消えて夜になったようだ?急に寒くなってくる。
「お前たちは考える必要はない!なぜなら全員ここでアンデッドになってもらうからだ!」
声の方を向くと、空中にマントを羽織った人が浮いている。
「お前は誰だ?」
ウシオが僕の前に守るかのように立つ。
ヒュン!
風を切るような音がして、ウシオの首が胴から離れる。ウシオの首が僕の足下に転がる。
「ウ、ウシオーッ!」
僕の叫び声が響きわたった!
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