第十六話 ロイヤルストレートフラッシュ
「たったたたた、たたた、たたた、てろれろてろりろりん♪」
ビデオポーカーの台が僕を祝福してくれる。
ガン無視！ダブルアップ！右！爆死！
少し心が折れそうになる。さっきは初めての一万枚越えで、淡い期待をもってしまった。完全作業で、面白くもなんともない。揃う役はツーペア、ポーカーの一番弱い役ばかりだ。せめて、もっと強い役からスタートできたら、一回ダブルアップが少なくても目標達成出来るのに…
ちなみにもうコイン4000枚のまれてしまった。
「マリーちゃん！信じているわ！」
もう、僕もあまりお金がないので、サリーに出して貰って1000枚チャージする。
サリーが僕の左手をキュツと握ってくる。
「絶対！勝つ！」
僕は自分に言い聞かせて、サリーの手をぎゅっと握る！
始めてのゲームでベットボタンを押したら、カードをチェンジしてないのにファンファーレが鳴る！
なんだ？
僕は訳が解らず、画面を凝視する。
「ん、コイン5000枚！？」
ポーカーの最強の役、ロイヤルストレートフラッシュが揃っていた！
「ウオオオオッ！」
僕はたまらず叫び声を上げた！
「ロイヤルストレートフラッシュ！」
僕はつい叫んでしまう。確かなんかのデータでは一億分の一位の確率だったような？うろ覚えだけど。ロイヤルストレートフラッシュは同じ絵柄で、A、Ｋ、Ｑ、Ｊ、10の5枚を集めたもので、ポーカーでは最高の役だ。このビデオポーカーでは、掛け金が500倍になる。
少し興奮したけど、ここからがスタートだ！
少し震えながらダブルアップのベットのボタンを押す。
引いたカードは2だ。2以外のカードを引けば倍になる。4つ並んだカードのうち、当然選ぶのは一番右。数字は4勝ちだ！
五千が一万になる。ファンファーレが僕を祝福してくれる。
また、ダブルアップのベットのボタンを押す。もう次はダメだろう。
引いたカードは7だ。微妙だな…
「おりゃ！」
ノーシンクで右を選ぶ。
数字は8！
アブねー、ギリギリかよ。ファンファーレが鳴るなんと二万になった。
「うりゃ！」
少しためらったけど、ダブルアップのボタンを押す。少し手に汗をかいてきた。
つぎは10だ…死んだな。
「やられたかな！サリー押してみて！」
「え、やだよ！負けてもあたしのせいにしない？」
「当然！勝てばラッキーくらいだからね！」
「とうっ！」
サリーが右を選ぶ。出たカードはなんとＫ、13だ！
また、ファンファーレが鳴る四万だ！
あと二回！
なんかさらに変な汗が出てきた！
