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第六話 シャドーサーバント


「マリーちゃん!後ろ!」


 モモさんの大声に促されて見ると、脱衣所の扉の前に真っ黒な人影が!


 音も気配もしなかったのに?


「悪魔のエルフ!ベル!」


 サリーが露天風呂から飛び出す。緑のビキニから胸がこぼれそうだ!


「スタンジャベリン!」


 サリーの手から出た魔法の槍が影に刺さる。


「ベル?」


 僕は風呂から出て近づく。


 ベルだ!


 真っ黒だけど、ツインドリルにいつものワンピース。端正な顔は無表情だ。


「どうしたんだ?」


 僕はベルの頭に手を伸ばす。


分子分解ディスインテグレイト!」


 ベルは右手を突き出し、後ろに避けるが間に合わず、僕は光に包まれる。


 僕の水着が白い粉になって床に落ちる。


「キャッ!ベル何しやがる!」


「…風呂は、裸…」


 ベルが虚ろな顔で呟く。


「ファイアーボルト!」


 サリーが僕を抱えながら、ベルに炎の矢を放つ。矢はベルを突き抜ける。ノーダメだ。


「隙だらけだな!」


 アナがベルを抱きしめようとするが、その手はすり抜ける。


「グラトニー!」


 ベルが放った光がアナに命中する。みるみるうちに、アナは膨れてスク水が破れて落ちる。


「うげっ!しまった!デブになってしまった!おお、胸が胸が大きくなってる!」


 アナは嬉しそうな声を上げて露天風呂に戻って行った。見なかった事にしよう。


「マリー様、言うの忘れてましたけど、ベル様の影から作ったシャドウサーバントというのが宮殿を守ってるっす。敵意がないものにはほぼ無害、服を脱がされるだけなんすけど、ばっちり敵認定されてるっすね!」


「おいおい、服を脱がすだけって、十分害悪だろ!多分母さんの仕業だな。ベルって本当に厄介だな!」


「ということは、魔法生物ってことね。マリーちゃん、少し待っててね」


 サリーは僕を露天風呂のふちに降ろすとベルの方に駆け出した。


「シェイド、モモ、援護よろしく!」


 シェイドがピンクの水着に包まれた大きな胸をぶりんぶりん揺らしながら、黒ベルを牽制する。黒ベルが魔法を放つが難なくかわし続ける。


 黒ベルをシェイドと挟んでモモさんが後ろから攻撃する。赤い水着が眩しい!モモさんが動くのたびに胸がブルブル動く!突き抜けるけど、その時一瞬だけ黒ベルの動きが止まる。


「マリー様!ついついベル様を応援してしまいますね!お姉さんたちの裸見たくなるっすねー!」


「マグロ、なに言ってやがる!」


 正直、少し共感したけど、我慢我慢!


「捕まえたわ!ディスペル!」


 サリーが黒ベルの頭に魔法解除の魔法をかけた。魔法生物ならこれで動かなくなるはず。


 カッ!


 黒ベルが光り弾ける!


 自爆装置つきか!


 えげつない!


 目を焼かれ、一瞬目が見えなくなる。黒ベルを囲んでた三人の水着が白い粉になっていく!


『キャアアアッ!』


 三人の悲鳴が響く!


 僕は後ろを向くが一瞬だけ見えた!


 しかも幸運な事に正対してたのはモモさんだ!


 綺麗だった!


 僕は今の光景を頭に焼き付けていた。


 ん!!


「大丈夫か!」


 壁から王子の声がする。


「大丈夫!覗かないで!」


 モモさんが叫ぶ!


「おい!見ろ!あれ!」


 僕の視線の先には、なんか小山のようなものが見えて、どんどん近づいて大きくなってくる。


「怪獣!」


 女の子たちの叫びが変なものを呼び寄せたみたいだ!


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