第五話 懐かしいテーブルマウンテンの温泉
「マリー様!多分近いっす!」
影の中からヒョイッとマグロが出てくる。
僕たちは、ラピュタ?から離れ、テーブルマウンテンの稜線をなぞって移動していた。正直、あれは何だったのだろうか?
「ほら、あそこだけやたら木が育ってるじゃないすか!多分あそこっす!」
マグロが指さした所は、山の中腹で、そこだけもりっと膨れている。そこに向けて急速降下する。
地上に降り立ち、籠を収納にしまいイカに子供に戻って貰う。イカは裸なのでマントをかけてやる。僕たちの中ではマント大活躍だ。イカをシェイドの部屋に入れる。たっぷり働かせ過ぎたのでしっかり休憩してもらおう。
マグロ、サリーと三人で手をつないで歩き出す。木がこんもりとした方向へ向かうがいつの間にか、こんもりが後ろにある。むむっ、踵を返すが、また堂々巡りだ。なんじゃこりゃ?
「魔法で空間がねじれてるんじゃないかなー?マリーちゃん!ガツンと一発やっちゃって!」
サリーの意をくんで、僕は集中して魔法を組み立てる。
「魔法非干渉世界!」
さすが世界の名前を冠する魔法。ごっそりもりっと僕の膨大な魔力を持っていかれる。けど、多分ここらにかかっている魔法は解除されたはず。こんもりに向かって歩くことしばし、見覚えのある景色に行き着いた。
懐かしい母さんの露天風呂だ!
やっと着いた!
僕が危惧したのは、さっきの魔法で、迷宮都市への入り口まで閉じてしまったのではないかという事だ。
僕は男湯の方から脱衣所の小屋に入る。脱衣所から暖簾をくぐると、宮殿の通路が続いていた。オッケー杞憂だった。
「サリー、魔力を使い過ぎたみたいだ。この温泉は魔力回復効果がある。ここで、しばらくゆっくりしたい」
「マリーちゃん、素直じゃないわね。要はあたしとお風呂に入りたいのね!」
「まあ、そうとも言う…けど、スパスタイルでお願いします。水着着用で」
「嫌よ!お風呂は裸で入るものよ!素直じゃないんだからぁ!」
「それは正論だけど、時間がないので気絶は勘弁して欲しい!」
「解ったわ!シェイドの部屋で体を洗って水着を着て入浴ね、マリーちゃんとマグロはさっきお風呂に入ったばかりだからすぐに水着に着替えて!」
僕とマグロは水着を着て温泉に浸かる。サリーとシェイドが来て、モモさん、アナ、金カブと続く。
当然、イカと王子は男湯だ、あいつらは多分全裸だろう。
僕たちは温泉で心も体も暖まった。しかし悲しい事に僕は忘れていた。僕にとってお風呂は戦場だという事を…
みやびからのお願いです。
「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、
広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、
ブックマークの登録お願いします。
執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。