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第三十一話 聖女飲まされる

 気がついたら床にねてた。ブランケットを取り起き上がり椅子につく。


 僕の前でエルフはがつがつ豚足を食べてる。料理は豚足に、レバニラ炒め、モツのトマト煮とパンを頼んでたのだが、粗方なくなってる。結構な量あったはずだが?


「お前さ、僕だってレディーなんだから、もっと丁寧に扱えよー」


 エルフは、僕を一瞥もせず、豚足をむさぼってる。口と手が、ベタベタだ。


「どこにレディーがいるの?言うなら獣ね。多分牛ね。モーモー鳴きなさいモーモー!」


 手と口を拭きながら挑発するが、話が進まないので、大人になることにする。


「はいはい、牛でいいよ牛で。もーもー」


 僕は大金貨を出して床に放る。


「おら、さっさと拾って色々話せ」


 エルフは僕をキッと見ると、姿がぶれる。瞬く間に彼女は、大金貨を摘まんでた。


「そうねー、まずは……」


 エルフは微笑んで話しはじめた。金の力は偉大だ。


 やっとループを抜け出せたらしい。やっと会話になった。


「魔法や呪いに詳しい人って言ったら、まずは、聖都の魔法学園の教員たち。これだけなら、誰でも知ってる事だけど」


 エルフは手を上げてカフェのマスターを呼ぶ。何か注文したらしい。


 そういえば、こいつの名前を聞いてない事に気づいた。うんこエルフは長くて呼びにくい。


「お前、名前、何て言うんだ?いや、答えなくていい、お前の名前は、今日からモミモミだ、略してモミって呼んでやる。ついでに、この村のすべての人に広めてやる。お前の名前は、今から未来永劫モミモミだ!」


 なんか、モミがいってるが、僕は耳をふさぐ。


「ああああ!聞こえないー。モミモミがなに言っても聞こえないー」


 キッと僕を睨むとモミは、運ばれてきた飲み物を美味そうにあおる。木のジョッキで、なんと氷も入ってる。なんか山賊とか海賊とかが飲んでそうなやつだ。僕の奢りと思って容赦ないな。


 いつの間にか辺りは暗くなってた。テラスのテーブルの上には、フワフワと魔法の灯りが浮いている。


「お前なに飲んでんだ?酒、得意なのか?」


「シークワーサー芋ソーダよ!芋焼酎にシークワーサーを、絞って炭酸入れたやつよ!美味いわよ!」


 なんて地獄な飲み物を飲んでるんだ、聞いただけで酔いそうだ…


「あんた、確か名前はマリー・シドーよね、マリーって呼ぶわ」


 モミモミが色っぽく上気している。昨日会ったアナ同様しゃべらなかったら、可愛いと思う。


「あんたも、飲みなさいよ!」


「あの、僕、まだ16才なんで、勘弁して下さい。それに、弱いし…」


「しょうがないわねー。」


 急に、モミはトロンとした顔から、真顔になる。


「マリー!上見て!上!」


 なんだ?僕は咄嗟に上を見る。


「ガボボボボボボッ!!」


 僕は急に流し込まれた液体で溺れかける。いつの間にか、モミが僕の鼻を摘まみ、ジョッキを口にあてている。芋の味が口に広がる。


「油断したわね、さっきのお返しよ!上を向くとね口が開くのよ。よくこうやって、妹に虫食べさせてたものよ。キャハハハハハハッ!」


 鬼畜だ!少しでもこいつを可愛いと思った僕を軽蔑する!気管に入った酒を吐き出すが、少し飲み込んだらしい。なんて酒を飲んでるんだ、喉が焼ける…


 モミは、いつの間にかたのんでた新しいジョッキを豪快に飲み干す。


「知ってると思うけど、私たちエルフって、平和を愛して、学問を好む、穏やかな種族なの。キャハハハ!」


 笑い上戸かよ!しっとりとした目つきで、話しはじめる。


「うほつけー!」


 嘘つけと言ったはずが、上手くいかない。やばい!致死量だ!体が痺れてろれつが回らない!


「だからー、基本的に森の中でひっそりと暮らしてるの。キャキャハハハハハハハハハッ!」


 やばい、こいつもかなりラリってる。にもかかわらず、また、新たな酒を豪快に飲み干す。僕は痺れてて、それを止める術がない。


「それで、みんなあまり知らないけど、ハイエルフがこの町にいる訳よ」


 むぅ、酔っぱらいめ。脈絡全くないよ。


「ウボボボボボボッ!」


 モミは、盛大に口から何かをまき散らした。


 汚いやつだな、最低だ…



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