神晶の記憶
「ごめんなさいね、この世界ではリザレクションは使えないの。使えるのはリーンカーネーション。あなたにはまた生まれ変わって貰うわ。わたしにできるのはそれだけ。そうね、せっかくだから私達の役には立たなさそうな、この神の神晶をあげるわ。境目の神、みんな口にするけど知られてない神。これがあなたのこれからの新しい人生の助けになる事を祈るわ。ありがとう。そしてさようなら」
緑色の髪の少女はそういうと僕の手の中にキラキラと光る石を握らせる。それは僕の手の中で砕け散り、光となって僕の体の中に吸い込まれて行った。
少女は悲しそうに切なそうに微笑むと僕に背を向けた。
僕の名前は綺羅それだけしか思い出せない。
思い出せる事は、僕は身を挺して彼女を守る事が出来た。その見返りとして僕の命は尽きかけている。
思いだすと何も良いことのない人生だった。
僕は何かに一生懸命になる事もなく、人におもねって自分の意思を人に伝える事も出来なく、何も出来なく、何もしなかった。
友達もいなく、当然恋人も居なく、思い残す事は女の子となんというかそういう行為を全く出来なかった事だ。というかそもそも手を握った事も数える程しか無い。
『言い忘れてたけど、神晶は強い思いや願いを叶える力にもなるわ。わたしの魔法が発動するときにあなたの願いを強く念じたら叶うかもしれないわ。では、本当にさようなら』
僕の願い?1つだけある。
また、彼女に会いたい!
僕は彼女を見た瞬間、体になにかが突き抜けた。その容姿、振る舞い全てが僕を癒してくれた。一目ぼれとかそういうのではなく、ただ彼女のためになにかできればそれで良かった。僕は人生の最後で彼女を助ける事が出来た。それだけで満足だ。けど、たった1つわがままを言うのならば、彼女にもう一度会いたい。
彼女の笑顔をもう一度だけでもいいからみたい。
僕の願いはそれだけだ。
あ、良かったらイケメンになりたいな。女の子にチヤホヤされてみたい。
逆でもいいな、アイドルみたいな女の子になって、世界中の人々からチヤホヤされるのもいいな。
最後らへんは、どうでもいいことを考えながら、僕の意識は闇に沈んでいった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「なんだ?今の夢」
何故か僕の頬は涙で濡れていた。そうだ。僕は緑の髪の少女に会うために転生したんだった。まあ、なんというか、今となってはそこまで強い気持ちは湧かないけど。僕の回りには今は仲間たちがいる。ボッチだった夢の中の僕とは違う。
うたた寝の中、思い出したのはかつての記憶かもしれないけど、今の僕はマリー・シドーだ。過去はどうでも言い訳ではないけど、今を大事にしたい。
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