第十一話 帰って来たエッチな事はギルティ君ver.3
「というわけで、一応こいつは仲間だ!」
聖都でのシャングリラでの戦い、孤児院での戦い、露天風呂での事などを事つぶさに僕はマグロを交えて皆に話した。
「なんかベルと同じような、危険な香りがするわ!魚臭いし!」
サリーが眉を顰める。魚の臭い嫌いなのか?
「え、マグロくさいっすか?」
「大丈夫だ、まっとうに魚の臭いがするだけだ!」
僕はマグロの頭をポンポンしてやる。
モモさんとサリーが近づいて来て、僕に頭を向ける。とりあえずぽんぽんする。なんの儀式だ?
「それでは気を取り直して、これ、母上からです!」
マグロは空中から指輪を四つと懐かしい兎のぬいぐるみを出した。ほう、収納魔法もつかえるのか。
「これはあたしの天敵『エッチな事はギルティ君ver.3』です。マリー様が妊娠しないようにと渡されました!見かけ通り、マリー様ってビッチなんですね!」
びたーん!
思わず、マグロの頭を叩く!
「ビッチちゃうわ!見かけ通りって、どこからどう見ても清楚やろ!エロい事したこと一度もないわ!」
「マリー様、すいませんでした!それならあたしが手取り足取り…」
「マグロ!ギルティ!」
「アイアイアイアイアーッ!」
ギルティ君が立ち上がり、その目から出た光線がマグロに刺さる。痛いだけの光線だけど本気で痛い。見てるだけで怖気がする。
シュタッと跳んで僕の胸に顔を埋める。ん、お前自身がギルティなんじゃないか?
「久しぶりだな!マリー!またヨロシクな!貰うぜ魔力!」
ギルティ君は低音のイケボで囁く。そういうクマのぬいぐるみをどっかで見たような?こいつなんか口数増えたな。
「それで、お前どうやって僕らを見つけたんだ?」
いいタイミングで出て来たという事は、僕たちにばれないようにどっかに潜んで成り行きを見てたんだろうな。
「聖都で皆さんサンドリバーに行ったって聞いてですね、サンドリバーで騎士の人にこっちに向かったって聞きました。あたし結構色々できますんで」
色々できますんでで、納得できる実力がこいつにはあるが、その色々にはエロい事が含まれてそうで嫌だ。
それからの話は無駄に長く、要約すると、母さんたちのとこから、川を泳いだり走ったり、動物に乗ったりして聖都まで来たらしい。そして、やっとぐだぐだした話も終わり、マグロは指輪を指さして声を大きくする。
「戦力不足で、四人ほど加勢してほしいっす!この転移の指輪で宮殿まで瞬間移動できるっす!」
僕たちの間に動揺が走った。