第九話 聖女、競泳に参戦
「ちなみに、僕が優勝したら、なんか景品はあるのか?」
よく考えると、僕が僕と一緒に寝る権利を手に入れても、なんか訳が解らない。
「そりゃー、1人で寝れるんじゃないの?」
サリーが答える。という事はご褒美なしか…ていうかおしおきか…
勝っても地獄、負けても地獄だな…
でも、気を取り直して頑張ることにする。
アルスやアナのような変態どもと寝るのだけは勘弁だ!
僕、サリー、シェイド、モモさんはゆっくりと水に入る。思ったより冷たくない。というかぬるい。王子の暴走のせいだろう。凄まじい威力だな。
ギル王子が手を上げスタートの準備をする。
「位置について!用意!スタート!」
王子の手が勢いよく振り下ろされる。
「「「グラビティ・ゼロ!」」」
僕、サリー、シェイドの声がきれいにハモる。
僕たち三人は水から跳び出して、水面を走りだす!
みんな考えは一緒か!
一応水についているので、泳いでいると言えるはずだ。
けど水流に逆走する形なので、なんかつるつるしていて以外にスピードが出ない。
身体能力のおかげで、サリーとシェイドが先行し、僕は少し遅れる。
ぶりんぶりん揺れる胸もディスアドバンテージだ。サリーとシェイドもデカイけど
僕はもっとデカイ。
「ハンズ・オブ・ヘカトンケイル!」
後ろからモモさんの声がする!
嫌な予感が…
少し振り返って見ると、無数の巨人の手で水をかき分けながら、モモさんがばく進してくる!
モモさんの体は半分以上浮き上がり、何ていうか、ガツガツ水をかき分ける巨人の手かシュレッダーとかトラクターみたいだ。
やばい、追いつかれる。追いつかれたらもみくちゃにされそうだ。下手したら命の危険すらある!
「ウボボボッ!」
努力虚しくみるみる追いつかれ、僕は巨人の手に巻き込まれて、水没し、たくさん水を飲む。
痛い、危うく意識を持っていかれる所だだった。体を触ると、水着もなんとか無事だ。頑丈な水着を選んでくれたサリーに感謝だ。
水からあがると、モモさんがガッツポーズをしていた。サリーとシェイドも僕同様に水辺に咳き込みながら上がっている。モモさんに巻き込まれたのだろう。
水泳ってこんなに危険なものだったのか?
決勝に残ったのは、アルス、アナ、モモさん。
前衛職ばっかだ。悲しい事に三分の二の確率で変態と同衾することになる!
地獄だ!
どこかに、即効性の無味無臭の下剤でも落ちてないだろうか?
なんかいい妨害方法がないか考えるが、思いつかない。体を張るしかないか!
三人は水に入り準備する。