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第七話 ゴッドフェニックス


「おおっと、学長トップに躍り出たーっ!」


 サリーが実況している。学長は流れるような見事なバタフライで三人を引き離していく!


「邪神化!変化!」


 平泳ぎみたいに泳いでいたイカの周りを黒いもやが包み、等身大のイカが現れる。まるで飛んでいるかのように滑らかな泳ぎで学長に迫る。あれ絶対飛んでるだろ。


「オオオオオオオッ!」


 首を出したちまちました平泳ぎのアルスが叫ぶ、金色の光に包まれ髪が逆立つ!

 

 見るからにマッスルになる!


 明らかにスピードアップする!


 泳ぎは筋肉じゃないって言ってなかったか?


 イカ、じじい、アルスで熾烈な先頭争いが繰り広げられる。マッスル二人とイカが絡み合ってる。


 きったねー景色だ!


 誰得やねん!


「奥の手だ!」


 引き離されたギル王子はその場で止まる!


「ウオオオオオオオオーッ!」


 すさまじい力が王子に収束していく!


 辺りの空間が軋む!


「俺の体が真っ赤に燃える!勝利を掴めと轟叫ぶ!」


 なんか聞いた事のあるセリフだな。大丈夫なのか?


「爆裂!ゴッドフェニックス!」


 王子は爆炎を纏い真っ赤に燃えて、辺りの水を蒸発させながら川底を走り出す。もはや、微塵も水泳ではない!


「ドウリャーッ!」


 王子はみるみる三人に近づく!


 まずは、水が蒸発して無くなってイカが燃え上がり脱落する。香ばしいイカ焼きの臭いが辺りを包み込む。生きてるのか?


 あとの二人も炎に包まれ弾かれるが、川底に足をつき走り出す。これは全員失格でいいんじゃないか?


「俺の泳ぎを見せてやる!」


 アルスが走りながら叫ぶ!


「いやいや、もう泳いでないから!」


 つい、つっこんでしまう!


「学園一のスイマーの意地見せてやる!ファイアープロテクション!」


 じじいも叫びながら、多分耐熱の魔法を唱える。


「もう水泳関係ないから!水泳に耐熱の魔法いらないから!」


 今度はサリーがつっこんでくれた。以心伝心だ。僕らは見つめ合ってにっこりする。


「マリーと添い寝するためだったら、俺はこの命!全てを犠牲にしてやる!」


 王子が叫ぶ!


 ただの添い寝に全てをかけるな!


 王子から吹き出す炎が威力を増す!


 あと少しでゴール、学長とアルスは追いつけない。


「俺に力をーっ!モミモミハンド!」


 アルスが叫ぶ!


 何かに足を取られて、王子が転倒する。なんだ、その三流エロ小説とかに出てきそうな技は?


 三人は転倒してもんどり打ちながらゴールになだれ込む。男3人組んずほぐれつ気持ち悪い景色だ。


「勝者!アルスーーッ!」


 シェイドがアルスの手を取り上げる。


「ウオッシャー!」


 アルスは割れんばかりの大声で、膝をついて激しいガッツポーズを放った!

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