第五話 転生者?
ハイファンから異世界転生にジョブチェンジしました。今後ともよろしくお願いします。
「ん、うまいけど、まだまだだな!おら、こい、教えてやる!」
僕はイカとウニを作業台に連れて行き、肉に隠し包丁の入れ方を教えてやった。この世界では、牛肉は臭みが無くて美味しいのだけど、あまり脂はのってなく、固い場合が多い。この世界?なんの事だ?
「ロース、ヒレ、ランプ、カイノミ以外の肉は基本的に固い所もあると思え、爪ではさんで切れない肉は噛みきれない。人間の歯と爪はだいたい同じ位の固さだからな!通らない肉は目を入れろ!あと、ホルモンは基本的に目を入れろ!」
目を入れるというのは、肉に隠し包丁を入れる事だ。
『はい!』
ウニもイカも真剣に僕の手を見ている。余談だけど、表と裏に2ミリくらいの隠し包丁を格子状に入れたら、包丁が入る固さなら牛すじですら柔らかく食べれる。料理は少しの手間で美味しく仕上がる。まさに、料理は愛情だ!食べる人にどれだけ喜んで貰おうかと思って作るのが大事だ!
イカとウニに手直しさせて、バーベキューを堪能する。
最高だ!
サリーが胸を揺らして近づいてくる。
これも最高だ!
ついつい目がいくのを自制する。僕たちは手頃な岩に座る。
「マリーちゃんの料理の腕と知識は異常よね、料理について色々調べてみたけど、存在しない技術っていうのがわかったわ!どこで学んだの?」
サリーが僕の顔を覗き込む!近い!ちゅーしそうになる!我慢して僕はサリーの耳元でほかのみんなに聞こえない様に言う。
「驚かないでね」
まず前置きをする。
「僕は多分異世界からの転生者だ」
僕もサリーの言葉で今確信した。前々からなんか今までも自分でもおかしいと思っていた。知ってるはずのない事が沢山ある。多分前世での記憶というやつだろう。
「え…」
僕はサリーの口を塞ぐ。しっとりとした唇が柔らかくて僕は鼓動が早くなる。落ち着いたのを見計らって手を離す。
「もう、訳がわからないよ!ま、マリーちゃんだからしょうがないか…」
「話したのは始めてだよ、それにおぼろげで確信はできない。けど、サリーには知ってて欲しかった」
「ということは、もっと色々美味しいものを作れるのね!今度いろいろ話してね!」
サリーは僕の腕に手を絡ませる。
「お前ら、何やってんだ!俺の分あるんだろうな!」
アルスがでぶ魔神を連れてやってくる。美味しそうな匂いの煙につられたのか?
「遅かったな!肉はもうないぞ」
皿に焼いた肉をたくさん盛ってアナが言う。
「アナ、お前のをくれよ!」
「嫌だよ!そいつを焼いて食えば?」
アナは魔神を指差す。
「食えねーよ!」
アルスはアナに駆け寄り、肉を数切れ奪って食べる。
「しょうがねー奴らだな!」
僕は収納から肉を出して切る。
「死ぬかと思ったぞ!」
魔神はアルスに焼いて貰った肉を食べてる。
「ごめんなさい!」
モモさんが謝る。
「おら、野菜たくさん食えよ!」
僕は魔神に野菜を焼いてやる。
「美味いな!最高だ!なんでだろう!」
「お前、そんな事もわかんねーのか?みんなで食う食事はうめーんだよ!」
アルスが魔神の背中をばしばし叩く!仲良くなったみたいだな。
「片鱗よ!」
モモさんが魔神に話しかける。
「マリーちゃんはまだまだいろいろ美味しいものを食べさせてくれるわ!」
「そうか…」
魔神は虚ろな目をして遠くを見てる。
「いつぶりだろうか、飯が美味いと思ったのは…」
今日だけはいいだろう、ダイエットは明日からだ。僕は魔神にたらふく食べさせてやった。
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