第1話 よそよそしい態度
「で、どうやったら、マリーに戻るんだ!」
僕の横に王子が座ってこっちを向く。
高度がとれて飛行が安定してきた。前方では金カブがイカを誘導している。魔神と王子と僕以外は、僕の影の中にあるシェイドの部屋に入ってる。魔神はでぶすぎて入れないので放置されている。
「ギル王子、何の事だ?」
「お前マリーだろ!前、俺と戦ったときマリーになっただろ!今すぐマリーになれ、昨日の話の続きをしたい!」
「おい、昨日はサクラがマリーを操ってたって聞いてないのか?」
「それは、聞いてる。けど、謝りたいんだ。マリーは泣いていた…」
王子は前を向く。
「俺は女を泣かせる男が許せない。自分が許せないんだ!」
「じゃあ、今度、本人に会った時にいうんだな!」
「わかった、そうするよ!すまなかった!」
王子は僕に頭を下げる。
「うわっと!」
僕は影の中に引きずり込まれる。
「BL禁止よ!キラさん!」
着地すると部屋の中にはサリーとモモさんがいた。
何というか距離感を感じる。みんな話しかけてこないしよそよそしい。
「他のみんなは?」
「トレーニングしてるわ!」
サリーが答える。
モモさんの方を見ると目が合って、モモさんは赤くなってうつむく。
いつもなら、誰かがすぐに抱きついてくるのに、それがないとなんだか寂しい。
「お、キラ、私と手合わせするか?こいつ、話にならない!」
アナが部屋に入ってくる。その後ろから汗だくのアルスがついてくる。
「違う!アナが強すぎるんだ!俺は決して弱くはない!」
「手合わせは、またで、サリーと二人で話がしたい!」
僕は別室にサリーを連れて行く。いつもだったら手を握ってきたりするのがないのが寂しい。
「で、話ってなに?」
「みんなに、話したい。僕がマリーだって!」
「そう、まかせるわ。けど、どうして急に?」
「なんか、距離をかんじるんだ…」
「それは、仕方ないと思うわ、私も戸惑うから!だから、今、話したら気まずくなるだけよ!たしかにキラさんは強いけど、あたしたちを信じてもいいんじゃないかな?マリーちゃん位まもれるわ」
「そうだね、みんなを信じるよ」
僕は、みんなの所に戻ると、なんとなくアルスの頭を叩いて、衣装部屋で変身して着替える。体がもっさりするけど、なんか落ち着く。そして、みんなの所に戻る。
『マリーちゃん!』
「マリー!」
みんなが笑顔で僕を迎える。複雑だけど、ま、いっか。