第七話 聖女の自己犠牲
「抵抗するとこの女をここから突き落とすぞ!」
魔神さんはバルコニーから身を乗りだし、小脇に抱えた僕の首にナイフを突き付けて、サンドリバー重騎士団に向かって叫ぶ!
「きゃああああっ!」
僕は場を盛り上げるために悲鳴をあげる。悪漢に人質にされる美少女を助ける!なんて最高のシチュエーションだ!
悲しい事に助けられる側だけど…
「愛しのマリー…なんて卑怯な!」
文字通り燃えさかるボディに赤いブーメランパンツの不審者、サンドリバーのギル王子は悲痛の叫び声をあげる。
その後ろには赤いブーメランパンツのマッチョメン約百人!
最強のパンツの開発には成功したのか?
もっと有益なもの開発しろよ!
地獄だ!
変態たちを囲むようにストーンゴーレム、申告では三千体!
進軍してきたサンドリバー重騎士団、変じてサンドリバー裸騎士団に蹂躙されようと待機してる。
もったいない!
何とかして無傷で手に入れられないだろうか?
考えろ!
知恵、勇気、希望、全ての僕の持つものを使え!
このままだと、ゴーレムは全てガラクタになり、魔神さんは討たれるなり、逃げるなりいい結果を迎えないだろう。
サンドリバー裸騎士団!
強すぎる!
武術大会でこいつらを倒せる奴はいるのだろうか?
サリーたちも強いけど、確実ではない、トーナメント方式だったら運次第では敗退するかもしれない…
牛男とベルが頭をよぎる。
あいつらの助けがなければ、僕はブーメランパンツの誰かの嫁になってしまう!
それは置いといて、僕は考えを張り巡らせる。
やってみるか!
「騎士団の者ども!武器を降ろして手を後ろに組め!」
誰も武器はもってないけど、念のためだろう。目の前には、地獄絵図が広がる。マッスルたちがパンツ一丁で頭の後ろに手を組み、股間と筋肉を誇示している!
「よし、抵抗するなよ!抵抗するとこいつの命がどうなるかわからんぞ!ゴーレムあいつらを叩きのめせ!」
ゴーレムがパンツマッスルたちを叩き始める。
何てきたねー光景だ!
当然ゴーレムのパンチは全く効いてない。ゴーレムのパンチに身をよがらせるパンイチたち。忘れたくても夢に出てきそうだ…
「止めて!私のために争わないで!もう見てられないわ!」
『気持ち悪くて』という言葉をなんとか飲み込む。
僕は魔神に体当たりして、バルコニーから身を投げる。
「仲間のために、その身を犠牲に…」
魔神が呟く。そんな訳あるかい!
「マリー!」
『マリーちゃん!』
王子や騎士団の叫び声が聞こえる。
ゆっくり頭から墜落しながら、僕は魔法を解放する!
「魔法非干渉世界!」
僕の体から白い暖かい光が溢れだし、辺り一体を包み込む。ディスペルの魔法にこれでもかとばかりに魔力をつぎ込んで進化させた魔法消去の最上位魔法だ!
これでここら辺の魔法を全て打ち消したはず。
僕はゆっくりと宙をまわり、ふわりと大地に着地する。
辺りが静寂に包まれる。ゴーレムは力を失い停止している。重騎士団たちのパンツが粉になって飛んでいく!
いかん!
あれは完全に魔力で出来た物質だったのか!!
「マリー!」
『マリーちゃん!』
感際まった顔の王子と騎士団が砂煙を上げて走ってくる!
全員全裸だ!
「助けてー!!」
僕は一目散に逃げ出した。
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