表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

274/404

第五話 直進行軍


「グゲッ!」


「グギャッ!」


 画面のリザードマンたちが明らかにおかしい。


 リザードマンの表情では解らないが、多分動揺してるっぽい。



 カメラが戦場を上空から捉える。明らかにリザードマンの軍の真ん中が割れている。

 まるで見えない何物かが進んでいるように空白が移動している。

 その空白に向かってカメラが移動する。画面の中ではどんどんリザードマンが泥の中に引きずり込まれている。泥が脈打ち槍の穂先、兜の頭が出てきて、重騎士達の上半身が現れる。重騎士達はたゆたってまるで泥土を泳いでいるかのように見える。その先頭にはギルフリード王子が現れる!


「サンドリバー重騎士団!ただ一人とて鎧を纏って泳げぬ者はなし!」


 王子がカメラ目線で吠える!


『オオオオオオーッ!』


 重騎士団の叫び声が響き渡る。鏡越しでも耳が痛い。


「おい、カメラ見つかってるな!おいおいおかしいだろ!あいつら何分息止めてたんだよ。明らかに身長より深い沼だよな!立ち泳ぎかよ!」


 ついついつっこんでしまう!


 デブ魔神も頷いてる。


 重騎士団はたゆたいながら何事も無かったかのように進んでいく。立ち塞がるリザードマンをまるでないものかのように!


「おい!魔神!なんとかしろ!リザードマン全滅しちまうぞ!あいつらの望み通り水に放りこんでやれよ!水中ならリザードマンももっと戦えるだろ!」


 僕は冷や汗をかきながら魔神の方を見る。


「おう!そうだな!やってみる!地殻変動湖の杖!」


 また魔神はどっかからかごてごてとした杖を出してそれを掲げる。杖から出たまばゆい光が画面に吸い込まれていく。


 便利な鏡だな。


 遠隔攻撃もできるのか。


 ぜひ欲しい!


 上空にカメラが移動して、戦場を捉える。サンドリバー騎士団を中心に湖ができて、全てのものが水没していく。ぽつぽつとリザードマンが浮いてくるのが見える。


 やったのか?


 カメラが近づき水中を映すと、残念な事に元気に立ち泳ぎで進軍する重騎士達を映し出す。


 まじか!本当に鎧着て立ち泳ぎしてる。水中から高速で襲いかかるリザードマンたちを殴りとばしながら進軍している!


 次々にリザードマンが襲いかかり返り討ちにあってる!


 変態だ!


 変態過ぎる!


 僕はここから逃げだしたくなる。このままだとやばい事になりそうな気がする。


 サンドリバー重騎士団が湖の岸にさしかかるときには、もう動くリザードマンは1体もいなかった…


 何事も無かったかのように、王子を先頭にサンドリバー重騎士団はただただ真っ直ぐに進軍している。僕と魔神は恐怖に顔を引きつらせた!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ