第二十七話 聖女、エルフに会う
あと、そういえば、昨日の鑑定で知らないスキルが増えていた。再確認のため、貰った紙を取り出す。
「『ホーリー・サクリファイス』
聖属性魔法に全てを犠牲にして捧げる。
『オーバー・ブースト』
昂ぶった心は全てを魔力に変える。
『聖気放出』
溢れ出る聖気は近くにいる者を癒す。不死の者を招き寄せる」
なんか、メリットとデメリットがあるスキルばかりだ。他の魔法が使えなくなったのは『ホーリー・サクリファイス』というスキルのせいだろう。
『オーバー・ブースト』
昨日アルスに使ってしまったのではないかと思う。
例えれば、通常1のMPを使うタッチヒールに、暴走して100か、もしかしたら1000位のMPをつぎ込んだのだろう。
タッチヒールという魔法が強化変質し治癒させるだけに留まらず、ちがうものも癒したのではないだろうか。ヘルメの時も考慮すると、それは多分『願望』ではないかと思える。これは、結構やばいのではないか?
あと、『聖気放出』はよろしくないな。なんかやたら人が近づいて来たりベタベタ触りたがるのは、僕の見た目だけではなく、このスキルも関係してるのではないだろうか?それにアンデッドを招き寄せるのはいただけない。このスキルを打ち消す何か方法を考えないと、この町から出るのも危険がだな。
「ここ、座るわよ」
僕の前に、誰かが来た。タイトなスカートにボタンシャツ。セミロングの金色の髪から尖った耳が覗いている。
昨日の冒険者ギルドの受け付けのエルフのお姉さんだ。
他のテーブルも空いてるのに、了解もなく僕の前に座る。
「うわ、なにその服。エロッ!キモっ!」
いきなりくるなり僕を罵倒し、汚いものを見る目で見てくる。痛い所をつかれ、つい恥ずかしさで顔が熱くなってしまう。
「なに、赤くなってんのよ。そういうのむかつくわね。むしょうに苛めたくなるわ」
ヒュン!
風を切る音がして、座ってたはずのエルフが僕の視界から消える。
ガシッ!
「ヒヤーッ!」
後ろからエルフ奴が、両手で僕の乳を鷲摑みにしている。ゾクゾクして力が出ない。
「もげろっ!」
エルフの指に力がはいる。くすぐったくて、脱力する。
ビッターン!
力を振り絞り振りほどき、クソエルフにビンタを放ってやる。
「何しやがる!ばかぁーーーーーっ!」
僕の声がカフェの店内に響き渡った。




