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第三十話 カッパ食いたい!


「カッパ食いてぇ!」


 今日は肉って気分だけど、今日はカッパだ!


 カッパを食ってやる!


「カッパって伝説の生き物で、水辺に住んで緑色で頭に皿があって胡瓜がすきな奴でしょ!あと、お尻を触るのが好きなんでしょ!」


 サリーがお尻を軽く撫でてくる。撫でかえしてやろうか?


「マリー、そんなものを食べたいのか?私もその妖怪の話は聞いた事がある!妖怪など見たことないから、何かの例えだな!そうか、カッパみたいな頭が禿げた、小柄のおっさんを食べたいって意味か!マリー!それは下品で悪趣味だぞ!食べるって、要はそういうことだろう!」


「アナ、相変わらず馬鹿なのか?何処の世界に、今日は大量で大儲けだから、自分へのご褒美に禿げたおっさんとエッチな事しましょうって考える女の子がいるってんのだ!」


 僕はアナを見つめる。


「あ、いた!来いアナ!お前にいい禿げっぷりの臭めなおっさん探してやる!」


「まて!まてって!」


 アナの手を引っ張って連れてこうとする。よし、今回は僕の勝ちだ!


「十分間に合ってる!私にはお前がいるからな!」


 手を引っ張られ、ふわっと持ち上げられてお姫様だっこされる。


「ん、今、お前、僕と禿げたおっさんを同一視しなかったか?」


「何言ってんだ!おっさん以下だろう!禿げたおっさんはほぼ無害だけど、お前は毒!猛毒だろう!私をモンスターの群れに蹴り込むし!」


 あ、まだ覚えてたのね。


「悪かったよ、つい、やり過ぎた!」


「今日の所はこれで許してやる!店につくまでお姫様だっこの刑だ!」


 これって刑なのか?らくちんだし、やたら密着してアナのお胸があたってる。むしろご褒美なのでは?一応見た目はかなりの美少女だし。


「マリー最高!暖かいし、柔らかいし、いいにおい!」


 あ、アナのご褒美だったのね。すこしキモい。サリーとモモさんが羨ましそうにアナを見てる。



 学園を出た僕たちは、焼き肉屋をまわって、カッパがあるか聞いていく。だっこされたままなので、悪目立ちする。少し恥ずかしい。こういう罰だったのか!三軒目でヒットしたので、そこに入る。


 ちなみにカッパ肉というのは、牛のお腹の皮とバラ肉の間にある固い肉で、これがまた美味しいのだ!

 カッパ筋とも言われている。店長に話してお金を払い、僕はキッチンを借りる。


「姉ちゃん、カッパ煮込むのか?」


 料理人が話しかけてくる。


「いや、焼いて食う!」


「止めとけ、止めとけ、固くて顎つかれるぜ!」


「おっさん、あとで食わせてやるから、黙って見とけ!あと、切り方見て覚えろ!」


 僕はカッパを取るとマイ包丁をだす。全くお肉の掃除をしないで、2ミリ間隔位にびっしり隠し包丁を入れて、クルンとひっくり返してまた同様に包丁を入れる。切り込みが互い違いになるからお肉はボロボロにはならないけど、どんなお肉も、ほぼこの方法で噛みきれる様になる。これは慣れたら誰でも出来る。


 あと、幾つかは、逆に完全に掃除する。脂は全部取り、薄皮も全部はぐ。料理人が感嘆の声を漏らす。この肉の薄皮を剥ぐのはかなりの包丁の修練がいるので、カッパ肉の完全に掃除したのはそうそう手に入らないだろう。


 最初の掃除してない隠し包丁いれたのは、1.5センチ厚さの一口サイズ位にカットした。


 完全掃除バージョンはフグ刺しみたいに限界まで薄く引いて花のように盛り付けた。余りを焼いて料理人に食べさせると頷いていた。


「じゃ、みんなで一緒に、手を合わせて下さい!」


『いただきます!』


 ひと通りの焼き肉フルセットとカッパ、それと銀シャリだ!

 メンバーはサリーとシェイド、モモさん、アナ、ウニ、イカ、シャル、ロロと先生もいる。


「今日は皆さんお疲れ様でした。大変な一日だったので、しっかり食べて力をつけましょう!」


 炭を入れるコンロの上に網を置いて焼くタイプだ。コンロは四台ある。


 隠し包丁いれたカッパはコンロごとに分けたけど、薄切りは僕の前にある。網の上にペレット、鉄の小さな塊を置いて、熱くなったのを確認して、油を塗って、薄切り肉を軽く表裏焼いてニンニク醤油でいただく。コリコリしてて最高だ!

 直火で炙っても、美味い。


 もう片方のカッパは普通に網で焼いて食べる。焼き肉のタレでも、塩だれでも、塩コショウのみでも美味い。少しコリコリしてて、噛むたびに口の中に旨みが広がる!好みもあると思うが、うちのメンバーには好評だった。焼き肉デビューのシャルにはモモさんがびたでついて世話を焼いていた。


「臭みが無い、ミノみたいだね!」


 特にサリーは気に入ったみたいだ。他にもロースやカルビ、鶏や豚や野菜も焼いて食べる!


 最高だ!


 満足!


 僕たちは、そのあと食後のコーヒーを嗜み、また学園に向かった。



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