第二十五話 モンスターハウス
「おい、アナ楽しそうなんだろ!お前一人で先に行け!」
僕は足にしがみついてるアナを蹴る。
「何言ってる!私たちは仲間だろ!一緒に行くぞ!」
15層に入ると、下にはかなりの広さの空間があった。その床には所狭しとモンスターたちがひしめき合っている。
モンスターハウス、その言葉が頭をよぎる。
ゴブリン、コボルト、オーク、ジャイアントウルフ等々が僕たちの下で飛び跳ねたりして手を伸ばしている。
まるで、昔話の蜘蛛の糸の地獄の話みたいだ。
とりあえずアナを投下しようとしたら、しがみつかれて今にいたる。
僕たちは徐々に降下している。多分、アナを切り離したら、空中でけ静止できるばずだ。
「アナ!行ってこい!お前モンスター大好きだろ!」
「嫌いじゃないけど、あの量は気持ち悪い!服汚れそうだし!」
「なら、解った!裸で行け!そしたら汚れない!」
「おお!その手があったか!さすがマリー!」
アナは服に手をかけ、僕から手を放す。本当にばかなのか?
「ウァアアアッ!騙しやがったな!」
アナはモンスターの中に落ちて行く。そして、モンスターたちが群がっていき、その中にアナは消えた。
「ちょっと可哀想なんじゃない?」
モモさんが僕の耳元で話しかける。僕たちはふよふよ空中に停止してる。
「むしろ可哀想なのは、モンスターたちだろうな」
「そうね、アナだから」
モモさんは僕に少し強くしがみついてくる。多分これから激しくなるから振り落とされないようにだろう。少しでなく、結構嬉しい。モモさんの体温が伝わってくる。
祭りとかである棒倒しみたいに、どんどんアナがいると思われる所にモンスターが群がっていく。
「戦神降臨90%」
アナの声が響く。モンスターの山から金色の光が漏れる。爆発したかのように、山が弾け、モンスターたちが吹っ飛ばされる。僕たちの所にまで飛んで来たが難なくかわす。
爆発の中心にはアナが仁王立ちで立っている。その制服はボロボロで、ほぼ下着姿だ。僕も裸下着率高いがアナも中々なもんだな。最近は少し見慣れた感もある。生意気に胸が大きくなってこぼれそうだ。
「わ、私の制服が…ゆるさん!全員地獄に送ってくれるわ!」
騎士としては吐いてはいけないセリフだと思う。少しつっこんでみるか?
「アナ、騎士が地獄とか言っていいのか?」
「マリー!私は騎士である以前に人間だ!人として許せない事もある。汚い!キモい!それはまごうこと無く悪だ!あいつら私をベロベロしやがった!私はベロベロするのは構わないが、されるのは逆鱗に触れると知れ!」
なんか訳わかんないが、怒り心頭なんだろう。要は噛みつかれたのが嫌だったんだろうか?
「お前の気持ちはよくわかった!じゃ頑張れよ!」
まあ、とりあえずらしい事をいっとけば、あとは頑張ってくれるだろう。
「任せとけ!フォボス!ダイモス!サウザンド・アタック!」
アナの両手に槍が現れ、辺りのモンスターたちを突いて突いて突きまくる。ガスガス吹っ飛ばされていく!
下着の美少女が槍を持ってモンスターたちを狩りまくっている。シュールな光景をしばらく見てたけど、なんか飽きてきた。
「じゃ、そろそろ行くか」
僕たちは降下し始めた。