第二十六話 聖女カフェに行く
僕は遅めの昼食中。ベーコンとほうれん草のエッグベネディクトをナイフとフォークで切り分けてる。
ベーコンとマフィンをフォークに刺してポーチドエッグに絡めて口に入れる。
ううん、美味い!
味付けはシンプルだけど、素材がいい!ここはお洒落系のカフェ。聖都とかで見かけるとこよりは、無骨な感じだけど、木目調メインで、逆にそこがいい。テラスはテーブルチャージが高いので、窓に近い席をとった。一人カフェ、これは女子の特権だね。一度はやってみたかったけど、男の一人カフェには勇者の心がいる。
ちなみに昨日は宿で体を拭いた後、軽く食事に行ってそのあとはぐっすり寝た。いろんな事が有りすぎて疲れてたんだろう。そして今朝起きて延々と魔法の訓練をした。まだ、使える魔法がしっくりこないから。半分位はMPを使ったと思う。
もきゅもきゅ。
進まない。めっちや食べるの遅い。口が小さいからか?食べ終わると同時にコーヒーが出てくる。田舎なのに気がきいてる。
まずは状況確認。今居る町は、聖都の北の開拓者の町。お金は、ここは物価が安いので一月は宿屋暮らし出来る位は持ってる。ただし、贅沢しなければ、今してるけど…
コーヒーを少し口に含む。酸味が少なくビターな感じだ。僕好みだ。あとで、何処の豆か聞こう。僕はコーヒーには、ミルクと砂糖をどっさり入れるタイプだけど、必ず初めはブラックで風味をみる。そうしないとコーヒーに対して失礼ってもんだ。
僕は聖都から迷宮攻略にきたのだけど、できれば早く帰りたい。なぜならば、聖都には、温泉があるからだ。
温泉!
女湯!
皆が夢にみるパラダイス!
今の僕は合法的に入れる!もっとも、まだまだかなりの経験値を貯めないと駄目だけど…
「ご一緒してもよろしいですか?」
気の弱そうな、貧弱な青年だ、服はそこそこいいものを着てる。あ、今、僕の胸をチラ見した。まぁ、男だから仕方無いよね、こんな胸を強調した服を着ている僕も悪いし。
「済みません。待ち合わせしてるんです。」
すごすごと立ち去った。ひっきりなしだよ、五人目から数えるのやめちゃったよ。当然誰かを待ってる訳じゃない。
気をとりなおして、僕自身の現在の能力を確認する。
戦闘能力は皆無。お猿さん並みの身体能力らしいし、けど、猿って結構すばしっこいよな?
魔法は今のところタッチヒールとホーリーライトしか使えない。他の魔法は、発動する事が出来ないようだ。
僕の知ってる魔法の知識では、魔法とは、体内にある謎エネルギーマジックポイント(MP)を、世界の理を変化させる言葉、いわゆる呪文で変化させ、様々な事を引き起こすものらしい。
何度も何度も繰り返し、思っただけで、MPを変換出来るようになったら、呪文は要らなくなる。僕は出来るけど、他の魔法でコツをつかんでたからだ。
タッチヒールは、回復魔法の最下位で、その名の通り、触ったものを回復する。ホーリーライトは、聖なる光で辺りを照らす。少し退魔能力もあるらしい。使える回数は、駆け出しの僧侶で、だいたい一日に3・4回らしい。
MPチートで、他の魔法は無尽蔵に使えたけど、タッチヒールは苦手であまり使わなかったのでわかんない。今なら僕は結構な回数使えるのではないだろうか。
あと、特殊能力は、オートヒールと、環境適応と、重力操作がある。
三つとも、親父との地獄の特訓で身に付けたもので、竜戦士の必要能力だ。
オートヒールは、その名の通り、怪我とかが結構な早さで回復する。
環境適応は、水中呼吸、炎熱氷結気圧変化とかへの耐性。
重力操作はかなりチートで、自分にかかる重力をコントロール出来る。これにより高く飛び上がり落下をコントロールして、空中戦が出来るし、めっちや早く走れるし、高いとこから落ちても無傷!
因みに今は、走るのは、それを使っても普通の人より少しは速いくらいだ。
コーヒーにミルクと砂糖をどっさり入れて口をつける。
今更ながら、何で僕は今女の子になってるのだろうか?
魔法?呪い?毒?
魔法の可能性が高いと思うが、まったく判らない。母親なら、なんか知ってるはずだけど、本当に困るまでは、頼りたくないな。