第二十話 リザレクション
「メガゴールデンビートルの甲殻と、マジックフルポーション、あと蘇生リザレクションのポーションだね!」
僕はサリーから離れる。見るとロロだ。緑のショートカットで、知らないなら美少年にしか見えない。ロロが指差している。そこには6畳間位の大きな湾曲した金色の板みたいなのと、装飾華美なビンに入った赤色と紫色のポーションがあった。
「グスン…ロロ鑑定出来るのか?」
僕は鼻をすする。
「ちょっとしたものならな。有名どころばっかだから少しかじったら誰でも解るよ。それより、お前、やるんだろ!馬鹿だからな!」
僕は首を縦に振る。
いつの間にか、僕たちの周りに武装した学生たちも集まっている。
「サリー…」
「いいわよ。その代わり、一番最初に隣に乗せてね!」
サリーが僕の頭をぽむぽむする。
「私には聞く必要はない!」
アナが僕の隣に来る。制服のブレザーにもどっている。
「虫は嫌だけど、多数決ね!」
モモさんは、頭のうしろで手を組んでそっぼを向く。
「お前ら、何するんだ?もしかして!」
ゴージャス鎧の人は走って逃げる。
「フロアボスを復活させるつもりだ!」
誰かが叫び、ギャラリーたちは駆け出し、入り口近くに戻る。
僕の仲間たちは、僕に甘い。うれしいけど。
あいつは確かに意思をもっていた。短い間だったけど、間違いなく心を通わせた仲間だ!
きゅぽん!
僕は赤いビンを手にして栓をとる。
「ロロ、こっちがマジックフルポーションか?」
「そうだ」
僕は一気に飲む、ほのかに甘く、スポーツドリンクみたいだ。じわじわ魔力が回復するのを感じる。
きゅぽん!
紫のポーションの栓を抜き、金の板にかける。
「もどってこい!金カブ!」
僕は大声で叫ぶ!
板のポーションがかかった所から湯気みたいなのが出て、泡だってもこもこ大きくなっていく。
「オーバー・ブースト!タッチヒール・メガ・マキシマム!」
僕は金の板に触れ、全ての癒しの力を叩き込む。
『人間になりたい!』
僕の心の中に声が聞こえた!
女の子?女の子の声だった!
金の板が爆発するかのように膨れ上がる。白い光に包まれながら。
モモさんが僕を担いで跳び下がる。アナはロロを抱いて、サリーは一人でついてくる。
みるみる膨れ上がり、巨大な金カブの姿が現れた瞬間、金色に光るとかき消えた。真ん中に誰かうつ伏せで倒れている。金色の長い髪が地面に流れている。