第十五話 抜け駆け
「却下です！」
即レスでサリーに却下された。
「マリーちゃんは、いろんなものに狙われる身、お風呂に一人で入るなんてもってのほかです！」
モモさんも同意する。ちなみに御手洗に行くときも紐を持たされてそばに誰かいる。過保護すぎだろ！囚人みたいだ…
ご飯のあと、サリーの部屋に戻り、コーヒーなど飲みながら、僕はソロでの入浴を提案した。その結果だ。アナは部屋に帰ったのが、せめてもの救いだ。
正直一人でゆっくり湯船に浸かりたい！美少女たちとの入浴を断るなど本来なら言語道断だけども、残念ながら僕は女の子なうだ。まだまだ魔力が足りず、男には戻れない。しかもマリーの体では興奮するとすぐに気を失ってしまう。けど、いままでの経験上、入浴には危険がつきまとう何故だ？ただ風呂に入るだけなのに…
「わかった！せめて、裸にならないでくれ」
「何いってんだ！マリー！お風呂は裸で入るものだろ！」
シェイドが影から出てくる。こいつサリーの分身のはずなのに、いまや僕の影の中が定位置だ。
「頼む。心穏やかにさせてくれ！」
僕の心の叫びだ！
「じゃ、タオルを巻くわ」
「却下！サリー、お前基本的にタオル脱ぐだろ」
「ギクッ！やっぱり、生のマリーちゃんの方がいいし」
「生は勘弁してくれ、僕の心がもたないんだよぉ！気絶はいやなんだよぉ！」
「じゃ！水着で勘弁してあげるわ」
モモさんの一声で僕以外は水着で入る事になった？
なんかおかしい気がする？
珍しくモモさんが場をしきる。まずは、シェイドとサリーが入ってひと通り終わらせてあがって水着を着る。そして次はモモさんが終わらせて水着を着る。そして皆で仲よく入る。なんてまだるっこしいんだ。そこまでして僕と風呂に入りたいのか？ああ、僕が男だったら最高のハーレム系主人公なのに…
サリーとシェイドが風呂に向かった。僕とモモさんはリビングに二人きりだ。
「二人きりだね」
モモさんが僕の隣に座る。そしてガバッと抱きついてくる。クールだったモモさんは何処に行ったのだろう？デレすぎだよ。
嬉しいけどね！
「じゃ、行こっか」
モモさんは僕をお姫様抱っこする。
「え、何処へ？」
モモさんの締め付ける手が強い！
動けない！
「どっか遠くへ！二人で暮らしましょう」
モモさんは音をたてず玄関まで走る！
速い！
すぱーん！
「モモ！抜け駆け禁止！独占禁止！マリーちゃんは皆のものです！」
タオルを巻いたサリーがモモさんの頭を叩いた。
「わかったわ！今日の所は我慢するわ」
そう言うとモモさんは、僕の唇にその唇を押し当てた！
我慢してねーし！
僕の記憶はそこで途絶えた…
