第五話 重騎士団出陣
「我らサンドリバー鉄の盾重騎士団は、ここにいる聖女マリーさんのおかげで、一人の欠員も無く蘇った!今こそ、にっくき巨大なトカゲに鉄槌を下す時だ!」
『オオオオオオオオーーッ!』
地が割れんばかりの大絶叫だ!
団長が右手を上げ、団員全員が手を上げる。
「静まれー!」
団長の一声で静寂が訪れる。
「知ってるとおもうが、私はマリーさんによって死の淵から蘇った!彼女がいる限り、首でももげない限り死にはしない!死を恐れる者はいないと思うが、存分に戦え!負けは決して無い!サンドリバーの勇名を天地に知らしめろ!行くぞーー!」
『オオオオオオオオーーッ!』
大歓声だ!
体がビリビリする!
「マリーちゃーん!」
「マリー!」
僕は苦笑して、小さく手を振る!
「天使だ!」
「女神だ!」
『マリー!』
『マリー!マリー!マリー!マリー!』
辺りがマリーコールに包まれる!
アイドルかよ!
百人のマッチョマンが手を突き上げコールしてる。
怖い!
怖すぎる!
ここで男に変身したら命の危険があるのでは…
ギル王子の姿を見ないと思ったら、あの馬鹿は独りで竜退治に向かったらしい。
あと、サクラもいつの間にかついて行ったと思われる。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
僕を含めた騎士団は馬車でドラゴンが向かった方へ進む。サンドリバーは乾燥した大地の川べりにあり、乾期には川が砂のみになるという。それがそのまま都市の名前で国の名前になったそうだ。平城を囲んで都市があり城壁が囲んでいるが、辺りには不毛な岩石だらけの大地が広がっている。作物も出来ず、狩猟もあまり出来ない風土なので、サンドリバーでは武技を磨き他国へ傭兵として出向き外貨を稼ぎ生計を立てているそうだ。
ドラゴンとかが生息する所からは遠く離れていて、有史以来、ドラゴンやワイバーンなどの飛行魔獣系が飛んできたことは無いという。今後は対空装備も充実させると騎士団長は言っていた。
ちなみに今は10時位で、僕が着いたのが朝6時位で3時間近く治療してた事になる。馬車を走らせながら、僕たちは食事を取っている。パンと干し肉だ。正直美味しくないけど、お腹減ってるので最高だ。
一緒に団長もいるが格好は普通の服だ。サンドリバーの騎士は鎧を収納に入れていて、着衣の魔法で着るという。便利だ。今度貰おう。
団長言うには、今ドラゴンは多分水場に向かったのではとの事だ。そこにはもうすぐ着くという。はたして、遠くの空に何か見える。目を凝らして見る。
間違いない、ドラゴンだ!