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第二十二話  聖女、アンデッドに襲われる

「俺の名はアルス、君の名は?」


 金髪さん、改めアルスの手を握り立ち上がる。


「マリー・シドー!ところで、どうして僕を助けてくれたの?」


「可愛い女の子を助けるのは男として当然のことじゃないか?」


 なんか、いつの間にか、徐々にアルスの怪我が治ってる様な気がする。回復系のスキルでももってるのだろうか?男に可愛いとか言われても気持ち悪い…


 ちなみに僕は、持ってる。オートヒール、父さんとの修行で努力により手にいれた。その名の通りの、自動回復スキルだ。けど、まだ足は痛い。走れなさそうだ。


「マリー・シドー、いい名前だな。よろしく、マリー」


 なんか、馴れ馴れしい奴だな。あ、今僕の胸をチラ見した。まあ、着てる服が服だから男だったらついつい目が行くのは仕方ないだろう。けど、僕も気をつけよう。見てる側は気付かれてない積もりだろうけど、見られてる側からは丸わかりだな。


「ううっ!」


 僕は、急に寒気がして、少し気が遠くなり片膝をつく。アルスが手を握っててくれたから、倒れずにすんだ。なんだ?何が起こったんだ?


「不快な光を出す娘!消えて貰うぅぅぅ!」


 とても低く聞き取り辛い、まるで地の底から響く様な声がした。


 声の元を見ると、今まで全く気配がなかったところに、目だけ空いた仮面にマントを纏ったものがいた。


 僕の本能が警鐘を鳴らしてる。こいつは、やばい奴だ!魔族?アンデッド?


 アルスは、モヒカンズでは、使わなかった、剣を抜き、問答無用で斬りつける。


 その魔物は微動だにせず、アルスの剣は仮面を弾き飛ばした。


 仮面の下には、骸骨に皮がついたミイラの様な顔があった。


「アンデッド!」


 アルスは言い放ち、僕を突き飛ばし、構える。


「アンデッド、死んでも生者に害なす不浄な者が、こんな町中に何をしに来た?」


 アルスが問う。


「汚れなき光を滅するべく。その娘の不遜な縁をを解き放つ為」


 なんか、厨二的に盛り上がってるが、全く笑えない。


 アンデッドはゆらりと宙に浮くと、こちらに近づくてくる。


 高位なアンデッドだと思うが、僕には何も打つ手がない。いや、一つだけある。


「ホーリーライト!」


 僕から放たれた聖なる光がアンデッドを照らしその動きを止める。余り効いてはいなさそうだが、一瞬の時間稼ぎにはなるだろう。


「消えろーっ!」


 アルスは、手当たり次第斬りつける。容易に、アンデッドを切り裂き、細切れにし、ついには、その頭部を剣で、地面に縫い付ける。


「他愛ないな!!」


 アンデッドが動かなくなったのを確認し、アルスは尻もちをついて、へたり込んでる僕に手を伸ばした。


「あっ…」


 僕の視界が急に朱に染まる。


「グボォ!」


 それが、アルスの吐き出した血だと気づくのに、しばらくかかった。


「ああああーっ!!」


 僕の口から、無意識に声が漏れる。


 アレスの胸から、アンデッドに刺したはずの剣が生えていた…


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