表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

219/404

第三話 壊滅した鉄の盾重騎士団


「タッチヒール!」


 怪我が酷い者から治療することにして、医者のじいさんについて行った。僕が癒した青年の青白い顔に赤みがさす。


 まだだ。まだ癒しが足りない!


「じいさん!傷を見せろ!」


 包帯が解かれて縫合された傷口が現れる。傷は大きくまだ血が止まってない。出し惜しみはなしだ。


「タッチヒール・テン!」


 血が染み出している傷口に手をあてて、増幅した回復魔法を流し込む。みるみる傷が消えていく。


「抜糸」


 じいさんが糸を取る。そこに触れて癒して完成だ。青年の苦悶の表情が穏やかになる。


「次だ!じいさん!」


「おお、すごい癒しの魔法だ!あと何回使えるのじゃ?救える命には限りがあるじゃろう。家族がいる者から優先的に…」


「黙れ!じじい!口を閉ざして、さっさと死にそうな奴の所へ連れて行け!」


 とりあえず爺さんをビンタで黙らせて、次へ行く!


「気の荒い嬢ちゃんだな!こいつらはもうだめじゃよ!癒しの奇跡も足りないし、火傷が酷すぎる!」


 そこには、十数人の鎧を纏った男達が転がされていた。部分的には鎧を外されてるが、鎧が溶けてる箇所もあり、多分皮膚が貼り付いて剥がせないのだろう。ケロイド状の皮膚、炭化した手足を露出させてる者もいる。


 とりあえず、じじいの尻を蹴る!


「じじい!さっき嘘つきやがったな!怪我が酷い奴の所へ連れて行けと言ったはずだ!こいつらよりやばい奴はもういないだろうな?」


「こりゃ痛いな!わしが怪我人になるわ!こいつらが1番重症じゃ、もう助けてやれないじゃろう…」


「それは、お前じゃなくて俺が決める!じじい、口じゃなくて手を動かせ!タッチヒール・アドバンスド」


 僕は、一番近くの顔がケロイド状の男に触れる。水ぶくれが破裂するが気にせずゴイゴイいく!


 じじいとその助手に鎧を剥がさせて、どんどん治してく。 


 しばらく後には全員全快させていた。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「なんと、素晴らしい!奇跡!これが聖女!!」


 じじいが涙を流している。


「泣くのは後だ!どんどんいくぞ!」


 僕はどんどん癒していく。初めは僕が重症者の所に行って癒していたが、騎士たちの復活者が気を効かせて、僕の所に患者を連れて来てくれるようになった。長蛇の列が出来てる。少しづつ軽傷になってきて話せる者も出始めたので、事の次第を聞きながら癒す。


 聞いた話をまとめると、サンドリバーの街に巨大なレッドドラゴンが現れて襲いかかってきて、サンドリバー鉄の盾重騎士団は住民たちを身を挺して守ったそうだ。住民には軽傷の者しかださなかったという。騎士団長の働きもあり何とか撃退したけど、あえなく壊滅したそうだ。サンドリバー重騎士団の団員百人一人として背を向ける事無く、巨大な竜に立ち向かったそうだ。



 馬鹿だ!



 こいつらは馬鹿だ!



 いい馬鹿だ!



 最高にかっこいい馬鹿だ!



 話を聞きながら、僕の涙腺が緩む。マリーは泣き上戸だ…癒す手に力が入る。


 それにしてもマッチョばかりだな…ていうかマッチョしかいない…まぁ重騎士団だもんな…




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ