第十話 ジリ貧な戦い
「いい湯だな!フフフン!」
僕はやっと生き返った。
先生が戦ってるなか、ロロにお湯をかけてもらって、凍り付いた体をモモさんから引き剥がしてもらい、血を流して綺麗にしてもらい再入浴した。あとは時間が経つのを待つだけだな。
モモさんと先生が無双している。
先生は滑らかな動きで、踊るかのように切り倒している。
モモさんはハンマーを両手で握り体重をのせ、重厚な一撃で吹っ飛ばしていく。
僕たちが苦戦してた黒騎士も、二人は危うげ無く一撃二撃で破壊していく。
「キャッ!」
見るとモモさんが吹っ飛ばされてる。
ん、何故?
黒騎士に混じって金色の鎧の騎士がいる。動きが速い!
「ロロ!手伝え!」
「マリー!わかった!」
魔銃を構え、僕の手にロロが手を添え金騎士を狙う
バシュ!バシュ!
あたった聖なる弾は霧散する。全く効いた感じがしない。
ゴウッ!
少し僕たちに気を取られた隙をつき、モモさんの一撃が金騎士を頭から潰す。
えげつねー!
ガシッ!
金属音がして、金騎士がモモさんのハンマーを掴んでいる。潰れた体がみるみる蘇生する。モモさんが蹴ってそいつを吹っ飛ばす。
黒騎士はほぼ全滅して、金騎士がどんどん近づいてくる。モモさんは、数体相手に一進一退をくりかえしている。先生をみると、どんどん切り倒しているけど、間を置いて金騎士が蘇生している。
物理無効か、耐久度が半端ないのか?
どっちにしてもやばい。モモさんも先生もそこそこに浴槽から離れている。五分以内に風呂場エリアに居ないと取り残される!
「ハンズ・オブ・ヘカトンケイル!」
モモさんの周りに無数の巨人の手が現れる。けど、疲労だろうかその動きは緩慢で、次々に金騎士に破壊されている。
ガキーン!
ひときわ大きな金属音に目を向けると、先生の兜が吹っ飛ばされていた。先生は肩で息をしている。盾ももう持ってない。それでも、金騎士をどんどん切り伏せていってる。
「姉さん!」
ロロが叫ぶ。
「大丈夫ですよ。少し熱かったから脱いだだけよー」
先生はこんな状況でもにこにこだ。少し怖い。
「キャアッ!」
モモさんの悲鳴だ。巨人の手は全て破壊されて、金騎士たちがモモさんに群がってる!
やばい!
「グラビティ・ゼロ!」
僕は夢中で浴槽から出て走り出す。
『マリーちゃん。援軍あげるわ』
母さんの声が直接頭の中に聞こえる。
念話だ。
ザバーッ!
水音がする。なんだ?
ジュルジュル!
なんか汚い音がする。
「っ!!!」
僕は瞬時に触手?みたいなものに絡め取られた!