第九話 ネバー・ギブアップ
「グラビティ・ゼロ!イージスモード!」
手近な奴に近づいて、タッチヒールで消滅させる。いける!一撃だ!足が冷たいと言うより痛い!触れた黒騎士も氷の様に冷たい!バスタオル一丁、決して雪のなかで戦うスタイルではないな!
泣き事はなしだ!手当たり次第に黒騎士を消滅させていく!風呂を中心に回りながら戦う。ロロに近づけないようにしないと!余り素早くないのがせめてもの救いだ!
「マリー!後ろだ!」
振り向くが、間に合わない!横なぎの一撃をもらう。派手に吹っ飛び違う黒騎士に当たるがダメージは余りない。ついでにあたった先の黒騎士を消滅させる。
僕はなんとか立っている。タオルはなんとか死守して人としての尊厳はあるが、全身傷だらけだ!寒さで動きもままならなくなり、攻撃してきた奴をかわさず触れて消滅させて、吹っ飛んだ先のを触れて消滅させるという、身を削った戦い方でなんとかしのいでいる。
「マリー!マリー!」
ロロの声が聞こえる。泣いてるのか?
「大丈夫だ!根性だけは人一倍あるからな!」
けど、もう限界が近い。体が動かない。全身の感覚も麻痺している。
二体ほど消滅させて、僕は倒れ込む。
まだ、いける!諦めない!
ふらふらだけど、僕は立ち上がる!
ゴツッ!ゴン!ガガッ!
鈍い金属音が聞こえる。
僕はひょいと横から抱え上げられる。
見ると、ゴツイ鎧の黒騎士だ!!
「マリー!待たせたな!」
モモさんだ!やばい!嬉しい!涙でそう!
「鎧!冷たい!痛い!」
「悪いが、マリー、もう一仕事よろしく、跳ぶわ!」
僕は意味を察する。最後の宝珠だな!
「グラビティ・ゼロ」
モモさんはジャンプする。風呂の上空に赤い珠が浮かんでる。それに向けてハンマーを投げる。命中!珠は砕け散り、僕たちは地上にもどる。
地上では白い鎧の騎士、先生が黒騎士をなぎ倒しまくっていた。
「これで、宝珠は全部破壊したわね!あとは、待つだけね!」
先生が、剣を突き上げてる。勝利のポーズなのだろう。
けど、僕の状況はよろしくない。血が凍って間違い無くモモさんの鎧に貼り付いている。体中至る所が……