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第二十一話  聖女襲われる

「ホーリーライト」


 窓を出るときに、目くらましを軽く放つ。関係無い人ごめん。

 

 アナの影におびえつつ、何も考えず走ったら、見知らぬ人気の無い所にいた。何処かも分からない。いつもの男状態の強さ故に、すっかり油断していた。


「ヒヤッハー、お姉ちゃん、俺たちと楽しい事しよーぜ!!」


 気がつくと、後ろには異様にマッチョなモヒカンが三人もいた。そりゃそうだ、スラムにメイド服を来た美少女がいたら、襲ってくれと言ってるようなものだ。


 僕は、逃げだしたが、スキルを発動する間もなく捕まった。結構強いぞこいつら。


「離してくださいー!!」


 遠くまで届くように出来るだけ高い声で叫んだ。アナでもいいから助けてくれ。


 ああ、暴漢に捕まってる美少女を助けるシチュエーション。そこに颯爽と現れぶちのめしフラグを立てる。そういうチャンスなのに、羽交い締めにされてるのは美少女の僕…


 「うひょっ!いい眺めだな!ふっとい乳しやがって!」


 モヒカンAが、手をわきわきしてる。揉まれてたまるか!僕ですらまだ揉んでないのに!違うって。


「そこまでだ!悪党!その子を離すんだ!!」


 よく通るまるで役者の様な声がする。見ると若い男性だ。長いサラサラな金髪に、180㎝は超えてる身長。革の部分鎧に長剣を背負っている。


 キラッ!


 微笑みの中に白い歯が光る。


「きもっ!」


 ついつい口走る。ちょっと、金髪くんの表情がかげったけど、すぐに立ち直った。


「なんだぁ!兄ちゃん!関係ないやつは引っ込んでな!」


 モヒカンBが凄む。あのー、あなた達も僕とは無関係なんですけど…


「痛い目にあいたくないなら、彼女を離して消えろ!」


 金髪くんは高らかに宣う。


「やっちまえ!!」


 僕を羽交い締めにしてる、モヒカンCが叫ぶ。


 モヒカンAが、殴りかかる。金髪くんはそれをかわし、殴りとばした。


 Bが殴りかかるのをかわしたが、膝蹴りをくらい、くの字に折れ曲がりながら、口からなんか垂れながしてる。それでも持ちこたえ、Bを蹴りとばした。なんて泥くさい戦い方だ。


「うっ!」


 Cが僕を地面に突き倒した。顔を上げると、金髪くんは、モヒカンズに囲まれている。Cの蹴りをまともにくらい、崩れ落ちる。あとは、三人から、がしがし蹴られてる。


「今だ!逃げろ!!」


 金髪さんが叫ぶが、どうも足を捻ったみたいで立ち上がれない。


 モヒカンズが僕に気を向けた隙をついて、金髪さんは一人の足を取って押し倒し、馬乗りになって、がんがん頭突きを食らわせた。他の2人に蹴られながら。一人は伸びたけど、後ろから、首に腕を回される。


「ギャッ!」


 モヒカンが悲鳴をあげる、金髪さんが腕に噛みついている。

 そのうでをたぐり、逆に首を絞める。

 ラストモヒカンが容赦なく蹴るけど、怯まない。


 二人目を倒すと、つぎは三人目の足を取り、倒し、馬乗りになる。子供の喧嘩みたいに、上から殴る殴る頭突きで、ラストモヒカンは動かなくなった。


「おじょうひゃん!おへばはありましぇんか?」


 金髪さんは立ち上がり僕に手を差し伸べる。


 口からは、血とよだれをたらし、髪はぼさぼさ、端正だった顔はボコボコ。けど、僕は『きもい』って言ったのは、悪かったと思った。


「…ありがとう…」


 最高の笑顔を浮かべて、金髪さんが出した手を、僕はつかんだ。


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