第一話 酔っ払ってるクレア先生
「あなたね!モモを非行の道に連れ込んだのは!」
シェイドの部屋に行ってマリーに戻って帰ろうとしたところに、道着と袴の合気道のような格好をした女性が現れる。女性にしては長身で金髪、僕達の担任のクレア先生だ。嫌な予感がする。逃げよう!
「グラビティ・ゼロ!」
僕は重力をカットして走る。瞬間、首根っこを掴まれる。足が宙をかく。速い!僕はにゃんこみたいに連行されてった。
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「そうなのね、大体の事は解ったわ」
クレア先生がニコニコしながら、僕たちに向かって言う。クレア先生は、モモさんのお姉さんだそうだ。どうりで、クレア先生を見たことがあるような気がしたわけだ。髪の色は全く違うが、よく見ると顔の色んなパーツが似てる。
今、僕とモモさんは、道場に並んで正座させられている。隣をみると、モモさんの顔が心なしか赤い。それに、僕と目を合わせてくれない。なんか悪いことしたかな?
ちなみに、モモさんは、さっきの事を説明している。チューの事以外は。
無難なところで、僕はたまたま通りがかったことにした。間違ってはないかな?
「マリーちゃん、ごめんねー、モモが変な格好してるから、勘違いしちゃって!あと、モモは今後は巨人になるときは、まず服を全部脱ぐこと!制服高いんだから!」
「はい、ごめんなさい。けど、裸は恥ずかしいです。」
「じゃ、下着だけはいいわ!けど、破いたら小遣いで買うこと!わかった!」
「はい!」
モモさん姉妹が会話してるが、微妙になんかずれてる気もする。
「マリーちゃん!女の子があんまりやんちゃしないの!顔は泥だらけ、髪はぼさぼさよ!猿と相撲でもしたの?」
「猿じゃないです。人とですよ!」
なんかペース狂うな!どういうシチュエーションで、猿と相撲をとるのだ?そもそも街に猿出るのか?
「女の子が外で相撲なんかしないの!するならせめて道場でしなさい。そんなに相撲したいなら先生がいつでも相手になってあげるから」
先生が豪快に四股を踏む。この人、頭、大丈夫なのか?
顔が少し赤いし酒でも飲んでるのか?
「先生。すみませんけどしてたのは相撲じゃないです。もっと激しい事してました。」
「相撲より激しいって!モンゴル相撲!」
確かにモンゴル相撲の方が激しい。
けど、相撲はもういいだろう。
そんなに力士が好きなのか?
先生の顔が近づいてくる。うん、酒臭い酔っ払ってるな。からみ上戸なんだろう。どうにかして切り抜けないと…
「相撲じゃなくて、ちょっとした立ち合いです!」
「立ち合いなのね。女の子がそんな事しないの。そんなボサボサな格好で街を歩くのはみっともないわ。そうよ、マリーちゃんとモモと一緒にお風呂入っていきなさい」
「ええーっ!」
モモさんが絶叫する?
「女の子は身だしなみが一番!丁度わいてるから。行って来なさい!」
「はい!」
モモさんと僕は立ち上がる。なんか押し切られてしまったな。けど、先生には逆らうと怖い気がする。モモさんに手を引かれて、お風呂場に向かった。