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第二話  フロアボスとの戦い


「グラビティ・ゼロ!」


 僕は自分にかかる重力を最小限にし跳び上がる。僕のクラスは竜戦士ドラグーン、歴史の浅いクラスで、ドラゴン等の巨大生物との戦いに特化したクラスだ。重力を操作し高く跳び上がり、降下し必殺の一撃を喰らわせる。

 他には環境適応、自動回復、全属性耐性のスキルも習得している。僕は魔法技術も磨いていて、魔力探知ディテクトマジック加速アクセル魔法の矢(マジック・ミサイル)も行使出来る。


「おら、トカゲ野郎! おめーの相手はこの俺様だ!」


 ジェフが双剣を手に叫びながら猪突直進する。その長身巨躯は味方として頼もしい。ありがたい、ヘイトを稼いで攻撃をいなすつもりだな。


「グゥオオオオオーッ!」


 ドラゴンは口を開けジェフの方を向く。いかん! ブレスだ!


 ドラゴンの口から吐き出された轟炎がジェフを包み込む。


「アドバンスト・プロテクション……」


 神官のヘルメがボソボソと呪文を唱える。彼女は神官かつ野伏レンジャーという異色の職業クラスで、正直とても助かる。杖から出た光がジェフを覆い隠す。


「ヒール・アロー……」


 次は杖から光の矢をジェフに放つ。癒しの矢、中級回復魔法だ。


「ごち、ヘルメ! トカゲ野郎、お前のくっさい息なんか屁でもねーぜ!」


「ジェフ、品の無いことばかり言ってないで、少し下がって。準備完了だわ」


 イリアは杖を手にジェフの右手に回る。ドラゴンがイリアを見る。


「凍り付け! 凍結地獄コキュートス!」


 イリアの杖から出た霧のような氷の粒がドラゴンに触れるやいなやその巨体の表面に霜をふらせる。


「時間は稼いだわ! キラ様!」


 イリアが僕の方を見る。こっちも準備完了だ!


「喰らいやがれ!」


 僕は上空から剣を構え頭を下に反転し加速する。狙うは一点ドラゴンの頭頂部。あらゆる生物は頭頂部に頭蓋骨の継ぎ目がある。その一点に向けて全体重全加速を乗せて剣の先端を突き刺す。


「ギャオオオオオオオーッ」


 やった! 深々と剣はドラゴンの頭に刺さる。ドラゴンは断末魔の叫びを上げ頭を振る。僕は足をかけて剣を引き抜き、転回しドラゴンを背に着地する。


「グオッ」


 気配を感じ振り返ると、ドラゴンが最後の足掻きで火の玉を吐く。咄嗟にかわすが左腕を微かにかする。


 チリッ


 ノーダメージではあるが、母さんから貰ったミサンガが焦げて切れて地に落ちる。


「チッ」


 つい、舌打ちしてしまう。まあ、しょうがないか。ドラゴン討伐の対価としてはお釣りがくるはずだ。


 黙って剣を天に突き上げる。勝利だ。


「さすがだな! キラ!」


 ジェフが駆け寄ってくる。僕はジェフとハイタッチする。ジェフがこんなに喜ぶのを見るのは始めてだ。始めてのスキンシップに少し戸惑う。


「見て、初討伐報酬のトレジャーが出るわ!」


 イリアのうわずった声に促されドラゴンを見るとその姿は霧散し、四つの宝箱が残る。


 ここはアルゴノートの迷宮の地下20層。この迷宮は発見されたばかりのもので、まだ未踏破だ。今まであった碑文によると、ここは英雄を育てるための施設で10層おきにフロアボスがおり、倒すと倒した者に応じたものの入った宝箱を落とすそうだ。10層のボスはジャイアントで高品質の武器を落とした。


 ドクン!


 何だ、急に鼓動が強くなる。


 ドクン! ドクン!


 全身が焼けるように痛い。


 ドクン! ドクン! ドクン!


 さらに鼓動は早くなり、ぼくは胸をおさえて膝をつく。


「どうした?」


「キラ様!」


 ジェフとイリアの声を聞いた所で、僕の記憶は途切れた……




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