第十二話 アナ襲来
「起きたか。マリー」
僕の目の前には、金髪の耳の尖った方がいる?
「ほう!私にはあいさつはないのか?」
「おはよう!」
寝ぼけた僕は布団の中素直にあいさつする。
背中に寒気が襲う!
アナだ!
やばい!
今は魔力マックスだ、直に触れたらキラになる!
僕は飛びすさり、距離を取る。
「すまん、アナ!忙しかったんだ。今度説明する。シェイド頼む。アディオ!」
シェイドが僕をシェイドの部屋に引きずり込む。そのときシェイドに触れてキラになる。ここはシェイドの衣装部屋で、家具も昨日揃えた。変身の痛みに苦しみながら僕は着換える。
隣の部屋ではウニが寝てる。
「おい!起きろ、ウニ!」
「兄ちゃん?牛男さんの主人の人でしょ、あいさつまだでしたね。ウニです。よろしくお願いします」
ウニが頭をさげる。微妙に良識あるよな。
「キラだ。マリーの親族だ」
嘘はついてない。不便だから、いつか説明しよう。サリーに相談して。
「サリーアイ!」
シェイドが言うと、壁がスクリーンになる。真っ暗だ。
「サリー!起きろ!アナが来てるぞ!」
「んんっ…まだねむいー」
「シンクロ!」
シェイドは自分のほっぺたを叩く。
「イタタタタッ!何するのよシェイド!」
壁のスクリーンが明るくなり、サリーの視界を映す。
アナが仁王立ちで立ってる。
「おはよう、サリー。マリーはどこだ?あのふっとい乳をもみしだかせろ!毎日マリーが夢に出てきて言うんだ!もめ!もめ!モー!モーと!!」
僕の背筋に悪寒がとめどなくはしる。
やばい!
あいつに捕まったらやばい!
あと、人を牛と同一視するな!
「んー、マリーはね、用事でどっか行ったわ。見つけたら連絡するわ」
サリーは起き出してベッドに座る。
アナは、ベッドのふちに座る。
「ところで、おい、サリー、結婚するって本気か?」
「本気よ!あたしはマリーちゃんのお嫁さんになるの!」
ん、キラじゃなくて、マリーなのか?
「キラさん、振られましたね!クスクス!」
ウニが失笑してる。う、叩きてぇー!
「ん、伯爵は?」
アナがサリーの方、僕たちから見るとスクリーンを見る。口によだれの跡がある。きたねー奴だ。相変わらず。
「あいつは、最低以下だったわ!思い出すだけで気持ち悪いわ!」
「そんな変な癖もちだったのか?格好同様に。それでどうだったんだ?よかったのか?」
「なにもしとらんわ!あいつは今頃、檻のなかよ!」
「そっか、犯罪者なのか」
「伯爵やめましょ」
それからしばらく、あたらしい洋服屋の事や洋服の事、新しいカフェの事や食べ物の事など、とりとめとなく2人は話続けた。
間違いなく僕たちの事忘れてるよね?